米粉おやきとともに地域の伝統を伝える
伊那市西箕輪
西箕輪米加工グループ

「おやき」は、長野県を代表する郷土食の一つ。米の貴重な時代の代用食だった小麦粉で作った皮が主流だ。しかしこの上伊那では、昔から米粉を使ったおやきが作られてきたことを知っているだろうか竏秩B
「きっとこの地域はほかの地域に比べれば米がよく取れたのだと思う。それでも私らの小さい時は、米粉のおやきは恵比寿講のごちそうだった」。メンバーは懐かしむ。
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活動の発端となったのは西箕輪地区の農家女性でつくる生活改善グループ。当時からイベントに合わせておやきを作るなどしていたが、みはらしファームができたことをきっかけに集まった有志で米加工を始めた。
主力商品は地域の伝統食である米粉のおやきと五平もちだ。
「生活改善グループのころから『地域の味を継承したい』って思っていたから、やっぱりおやきと五平もちを作ろうってなってね」
程よい甘さの手づくりあんは米粉の皮との相性が良く、素朴な味。懐かしいね竏秩Bおやきを手にする客からはそんな声がもれる。
「おいしかったって声をかけてもらったり、手紙をもらったりするのはやっぱり嬉しいね」と笑顔を見せる。
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それでも、商品として販売できるようにするまでには試行錯誤があった。伝統的な作り方は生の皮にあんを包み、ゆでるというもの。しかし、これだと皮がすぐに固くなってしまい、ゆでている最中にあんが飛び散ることもあった。
商品として販売できる形にするにはどうしたらよいか竏秩B工夫を重ねる中で、皮を一度ゆで、それを練り直す方法に切り替えた。すると、皮が固くなりにくくなり、あんが出ることもなくなった。

また、安心・安全な食を提供しよう竏窒ニ、地元産の米粉や小豆を使用。添加物も使用しないことに決めた。
そのため、なるべくその日に売れる分だけ作るようにしているが、作る時点でその日に売れる数を把握することは不可能。数の調整が一番難しいという。
「添加物を使えば、1日置いても皮が固くならないけど、やっぱり、安全なものを提供したい」と語る。
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努力のかいもあり、今では地元客や里帰り中の滞在者、観光客など、さまざまな人がおやきを購入していく。
また、恵比寿講があるこの季節は1年の中でも最も忙しい時期。
この辺りの農家では、恵比寿様が出雲へ出かける11月1日の早朝にまず、あんこを入れないおやきを供える。そして恵比寿様が稼いで帰ってくる11月20日、今度はあんこの入ったおやきをお供えするのが昔ながらの慣わし。しかし、今はこうした行事を行う家庭も減っている。
そんな中、グループでは、恵比寿講直前の11月17日から19日に、昔を思わせる“俵”や“かます”の形をしたおやきをみはらしファーム直売所で販売する試みも続けており、おやきを通して地域の伝統を今に伝えている。
「関心を持ってもらうには新しい商品を考えることも必要だけど、おやきと五平もちは私たちが自信を持つ絶対的な商品。長く作り続けていきたい。とにかく一度食べてもらい、普通のおやきとは違う味や米の重みを味わっていただければ」