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輝く!経営者~新たな挑戦~ 三洋グラビア 原敬明社長

 大きな反響を呼んだ「上伊那・輝く!経営者」キャンペーン(2003年4月縲・005年3月)が終了してから2年半が経過しました。
 同キャンペーンは、商工会議所、信州大学、県などの産学官でつくる推進委員会が地域産業の振興を目的に、上伊那の元気な中小企業・商店経営者を伊那毎日新聞の紙面やCATV番組、あるいはシンポジウムなどで紹介。「収益性」「技術力」「地域社会への貢献」「環境対応」などさまざまな面から地域や業界で高く評価されているそれぞれの優れた事業内容を・ス経営者・スに焦点をあてた取材を通じて浮き彫りにしました。
 取り上げた経営者の数は約100人。伊那毎日新聞社はそれらすべてを単行本「信州伊那谷からの挑戦」にもまとめました(好評販売中)。
 地元中小企業経営者からは「とても参考になった」「経営のヒントと元気をもらった」などの声が続々と寄せられ、推進委員を喜ばせました。
 また、同キャンペーンは、身近にある郷土の事業所が、実は業界・関係筋で非常に高く評価され、全国、世界を相手にしても決して引けを取らない実力を持っていることを地域に広く知らせる結果ともなり、若者の郷土定着やIターンなどにも影響を及ぼそうとしています。
 そのキャンペーンが終了してから2年半が経過し、最近になって「あの・ス輝く経営者・スたちはその後、どんな活躍をしているのか」「あの元気をどのように持続しているのか」という声を耳にするようになりました。
 そこで今回、キャンペーンで紹介した約100人の・ス輝く経営者・スの「その後」の状況を伝える連載「上伊那・輝く!経営者・その後縲恊Vたな挑戦縲怐vを企画し、読者や関係者のみなさんの要望にこたえることに致しました。上伊那の産業がもっと・ス元気に・スなることを願って。

三洋グラビア 原敬明(はら・けいめい)社長(47)

◆本社/伊那市西箕輪2415番地
◆創業/1957年9月7日
◆資本金/3800万円
◆従業員/120人
◆TEL/0265‐72‐1511 FAX/73‐3 352
◆全国でも屈指の食品包装パッケージ専門の印刷会社。企画・デザイン・製作から製版・印刷・ラミネート・製袋まで、パッケージ印刷にかかわるすべてを一貫生産する。ハイブリッド印刷で特許を持ち、関東甲信越地区の食品メーカー500社からの受注で躍進を続ける。

基幹業務管理システムを更新

 新たな基幹業務管理システムを昨年8月から1年間かけて導入した。10年ぶりの入れ替えに要した経費は6千万円。
 同社は従来、一貫生産ならではの、受注から納品までのすばやい対応を得意としていたが、新システム導入でさらに時間が大幅に短縮されるようになった。
 さまざまな受注条件に対応し、自動計算で工程割付まで出来る。出張先とも瞬時に連絡がとれ、資材調達、社長承認などの手続きをスムーズにした。
 さらには、生産日報から生産状況まで把握することもでき、一貫生産の利点を生かした合理的な管理がさまざま面で可能になった。基幹業務管理に携わる従業員の数も半減。原社長は「これまではペーパーベースで1、2日かかっていたものが、瞬時に対応できる。効果は大きい」と語る。

時間を買い取る

輝く!経営者~新たな挑戦~ 三洋グラビア 原敬明社長

 原社長の頭の中には常に・ス時間との勝負・スが課題としてある。「伊那谷は陸の孤島。その不利な状況を埋めるためにIT化は必要。時間を買い取っていかねば、地形的に有利なところの競合他社に対抗できない。移動の時間短縮は不可欠。朝商談を持ちかけられたら午前中に顧客の会社に行かないとうまくいかない」。交通のハンディをどうしてもなくしたい竏窒ニ、小型航空機による「コミューター空港」を経営者仲間と真剣に検討したこともある。
 そんな原社長の思いが、基幹業務管理システムの更新に加え、今年7月、社内に液晶モニターを設置させた。大型液晶画面によるテレビ会議システムで、本社と東京・名古屋の営業拠点を結び、毎日の朝礼や版下の確認などに役立てている。「距離・時間の短縮だけでなく、売り物のデザイン力を支えることにもつながる」と原社長。

生産性10%アップ目指し

 業界の状況が厳しくなっても、改善活動などで収益性を向上させる努力を限界までしていれば自信をもって乗り越えられる竏窒サんな思いから、トヨタ生産方式を取り入れた生産革新にも取り組んでいる。
 9月1日にキックオフ。コンサルタントに月2回指導を受け、来年8月末までの1年間で生産性10%引き上げを目指す。「すでに効果はある」と手応えを感じている原社長は、全部門での「多能工化」も推進。「熟練に頼っているようでは競争に負ける」と言い切る。その言葉からは、従業員120人の平均年齢が35縲・6歳と低い割に定着率の高い同社ならではの自信もうかがえる。
「疲れるけど充実」
 時間との勝負に心を砕いている原社長だけに、東京などへの移動はどうしても早朝や深夜になる。午前4時台の高速バス始発に乗り込み、深夜0時半過ぎ伊那着の最終便で帰ることなどは日常茶飯事。
 そんな往復のバスの中で、いつも同じ顔を何人か見かける。疲れ切った表情は原社長と同じ。「彼らも頑張っているんだ」。刺激になる。
 これらの最前線で活躍する経営者たちを「闘志を秘めた集団」「完全燃焼している人たち」と評価する原社長。「疲れるけど、毎日が充実していて楽しい」と笑ってみせるバイタリティが社員を安心させ、会社への信頼をさらに強固なものにさせている。

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