孝行猿の家資料館 12月末に閉鎖へ
伊那市教育委員会は、長谷市野瀬にある「孝行猿の家資料館」を12月31日で閉鎖することにした。資料館は民家の一部にあり、所有者が生活を営む上で問題が生じていた。今後、長谷地区の別の場所に資料館を設ける方向で検討する。
民話「孝行猿」は、親を思う子猿の哀れな物語。明治から戦前にかけて修身の教科書に取り上げられた。85年、旧長谷村が発祥となった民家の一角に資料館を設置し、無料で公開している。
資料館と民家は別の入り口だが、生活している民家に来館者が入ってくることもあったという。
昨年、市文化財審議委員会内に小委員会を設け、資料館保存のあり方を検討。現地での保存が望ましいが、保存体制の難しさなどから、移転する余地もあるとした。10月下旬には、所有者の意向などを踏まえ、市史跡文化財から外した。
資料館には県内外から多くの人が訪れているため、市のホームページや資料館への看板設置などで閉鎖を周知。閉鎖後は見学などで敷地内に入らないよう理解を求めている。