第55回全国高等学校定時制通信制生徒生活体験発表大会で厚生労働省職業能力開発局長賞受賞
箕輪工業高校定時制4年生
箕輪町上古田
押野悟司君(18)
ここまで自分が成長してこれたのも、中学の時の経験があったからこそ。不登校になったのも、ここ(箕輪工業高校定時制)に入学したのも必然だった。それを受け止め、考えて行動した結果が今なんだと思うんです竏秩B
定時制、通信制の高校で学ぶ生徒が、学校生活を通して感じ、学んだ体験を発表する「生活体験発表大会」。その第55回全国大会(11月24日、東京都新宿高校)に県代表として出場し、箕工定時制で過ごした自身の成長を見つめた『努力と結果』を発表。見事厚生労働省職業能力開発局長賞に輝いた。
「昨年も県大会まで行ったので、今年は上を狙うつもりはなかったんです。このテーマを選んだのは、もう4年生だし、これまでの自分を振り返ろうと思って。でも、賞をもらえたのは素直に嬉しい」と笑顔を見せる。
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中学2年の夏、いじめを原因として不登校になった。それ以降、中学校には行っていない。
これまでの遅れを取り戻したい竏秩Bそんな一心で箕工の定時制に入学しようと決意した。不安はあった。中学の時の経験は、“人間不信”という心の傷を残していたからだ。
意を決して入学したものの、しばらくは自分の殻から出られない日々が続く。そんな中迎えた、1年生の夏、文化祭での定時制恒例の出し物となっている「和太鼓演奏」の練習に取り組むことになった。
太鼓をやったことはなかったが、もともと音楽は好きだったこともあり、練習すべてが楽しかった。また、みんなと一緒に練習に励む中で仲間と打ち解け、その経験が自信を持つきっかけとなった。
その後、アルバイトや生徒会なども経験。忙しいながらも充実感のある日々を重ねる中で、共通の趣味を持つ仲間ができ、先生とも気軽に話せるようになった。そこには、一歩一歩だが確実に成長してきた自分の姿があった。
「『ここまで上がってきたのだから、もっと上へ上へ』って無我夢中で頑張っていました。アルバイトもそれまでの人間不信を払拭するチャンスだと思って始めました。最初は緊張したけど、大きな自信になりました」
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生活体験発表では、この4年間の経験の中で成長してきた自身の心の変化、思いのたけをすべて書きつづった。その文章は校内選考を通過。県代表にも選ばれ、全国の定時制・通信制の高校生らと肩を並べて発表する全国大会へと進むことも決まった。
全国大会に集まった発表者は58人。一人7分のもち時間で発表することとなっていた。
壇上に立った瞬間、真っ先に襲ってきたのは緊張感。しかし、今の自分では終われない竏秩Bそんな思いが自分を後押しした。緊張感をプラスの力に変えて発表しよう竏秩B一言一言に精一杯の思いを込め、等身大の自分を堂々と語った。
発表の終了とともに緊張感から開放され、会場からは温かな拍手が送られた。
「先生にも言われたことなんですが、これは今、ここでしかできない経験で、将来お金をかけてもできないこと。すごく良い経験をしたと思います。この4年間とそれ以前に学んだことを踏まえて、自分の前に出てきた問題を乗り越えて行きたい」