駒ヶ根東アベック初出場の全中駅伝 真剣勝負
全国中学校駅伝大会 山口でいよいよ15日
第15回全国中学校駅伝大会は15日、山口県山口市のセミナーパーククロスカントリーコースで男子6区間18キロ、女子5区間12キロでああり、県代表の駒ヶ根東は男女そろって初出場する。選手たちは同校創立43年目にして全国への扉を開いた開拓者。これまで、「夢は本当に願うと実現すること」を身をもって伝えている。
究極のチームプレーだが一人ひとりの責任が重いのが駅伝。竹田正樹監督(45)は「一人で走る孤独な競技だが、たすきをつなげれる楽しみ、達成感を持てるスポーツ」と語る。昨年の県中駅伝では気持ちの弱さから全中の出場権を逃した。今年は男女ともそれぞれが自分の役割を果たし、大会初のアベック優勝。前回大会の悔しさを晴らした。
臥薪嘗胆(がしんしょうたん)竏窒ェ合言葉だった。「普段ならあんなことはしなかった」という、女子のアンカーだった篠田美樹主将(3年)はゴールテープを切る瞬間、人差し指を立てた右手を高く空に突き上げた。「去年できなかったので1位を取れた喜びが爆発した」
駒ヶ根東は、全校生徒約150人の小規模校だ。現在の部活動は運動系が陸上、野球、女子バスケットボールの3つだけで、ほかは文化系の音楽と創作。全員が自分の希望する部活に入部した訳ではなく、足に自信を持つエリートが集まる有名校とは勝負できないというのが一般常識だった。
そんななか、県内で実力を発揮し始めたのは、指導力に実績のある竹田監督が顧問に就任した05年から。一人ひとりの力を最大限に伸ばし、選手をじっくりと観察しながら指導するきめ細かなトレーニングがチームを県内トップに成長させた。陸上を学びたいと学区外から同校に入学する生徒も現れるなど、陸上部の人気は高まっている。
竹田監督はまず、ほとんどの陸上未経験者に競技の魅力を伝えた。毎回の練習や大会で一人ひとりに目標タイムを設定させ、それらを次々と達成していく喜びを感じさせ、みんなで切磋琢磨(せっさたくま)することの楽しさを教えていった。
自分に合った種目が見つからず、1年の冬から長距離に本格転向した久保田光君(3年)は3千メートルの自己ベストを3年間で約3分縮める成長。「きついときがあってもできる限り自分の中で楽しんで走っている。みんながいたからできたこと」
駅伝競技はすべて一発勝負。選手たちが一人ひとりの力を出し切り、全中では男女とも入賞の8位以内を目標に掲げる。今夏からは、全中の競技コースを想定した校内の起伏のある場所で走り込みを徹底。選手たちにアップダウンがあるコースへの苦手意識を感じさせないように工夫した。
「真剣勝負だから楽しいんだ。全中は人間の本当の力を出せる場所、日本一の真剣勝負ができる場所。勝ちたい想いの強さが重要となる」と竹田監督。「あとは今までやってきた成果、自分の力を絞り出すだけ。挑戦者の気持ちで」と選手たちに呼びかける。
男子チームの福沢潤一主将は(3年)「支え合える仲間がいたから自分の成長につながった。このメンバーで走れるのは最後になるので、この一瞬、一瞬を無駄にしたくない。男女とも最高で最強のチーム」と気合が入っている。