はら美術で飯田市の陶芸家・市瀬貞人さんによる作陶展
飯田市在住の陶芸家・市瀬貞人さん(70)による作陶展が18日まで、伊那市旭町のはら美術で開かれている。
独自に開発した穴窯で焼き上げることで一つの作品の中にさまざまな表情や色合いを表現した花器や陶板、皿など約110点が、訪れた人の目を楽しませている。
1965年の県展知事賞受賞をはじめ、日展、光風会展など、さまざまな展覧会に作品を出展してきた市瀬さん。海外や全国各地で個展を開催してきたが、伊那市内での個展は初めて。今回は近作を中心とした作品を集めた。
過去には登り窯などによる作陶活動にも取り組んできたが、これまでの焼物になかった表現を求め、原始的な「穴窯」による作品制作を開始。穴窯では炎が均一に当たらないため、炎の当たり具合によって陶器の表面の表情、色が変化する。中でも色は、焼き上げる過程で灰釉と交じり合いながら多様な色が生まれ、作品の表面で美しく調和している。しかし、炎が平均的でないため制作は難しく、窯入れした作品のうち、実際に完成するものは10分の1程度だという。
今回は、昨年中国で開かれた「日・仏・中現代美術世界展」でパリ国際サロン賞を受賞した作品「雲の輝き」も展示。また、無垢(むく)の木に陶器で作ったモチーフを張り付けた「陶板」は、これまであまり発表してこなかったもので、一般に披露するのは今会場が2カ所目となる。
市瀬さんは「平均的でない作品の中にある柔らかさ、色合いを見ていただければ」と話していた。
入場無料。午前11時縲恁゚後6時。