輝く!経営者~新たな挑戦~ キャリコ 小林正信社長
有限会社キャリコ
◆駒ケ根市上穂南4竏・
◆創立2001年6月
◆資本金300万円
◆従業員4人
◆TEL0265・81・5707
◆URL www.calico.jp
地元のユーザーの実情に即したコンピューター情報サービスを提供するキャリコ。ネットワークソフトウェア開発、システム構築、ホームページ制作、プログラム開発など、そのフィールドは幅広い。先見性と確かな技術で日々躍進するキャリコの新たな挑戦とは竏秩B
社名のキャリコは英語で「更紗」「まだら」などの意味だ。
「いろんな色が混ざり合っている。雑多なものが融合しているイメージからこれを社名にしました。創業から6年余りたち、主力の業務もネットワークやインターネット用サーバーの構築から、ネットワークソフトウェア開発へと広がってきたが、目指していることはまったく変わっていない。むしろ、周りの社会環境が変わってきて、自分が考えていた方向に少しずつ近づいてきたような印象も受けています。面白いと思った技術に取り組んでおくと、2、3年して実際に使えることが多い。点がつながって線になるような感じですね。技術や開発というのは、幹になるバックボーンがあって、いろんな局面に合わせていろんな切り口でやっていくことが重要だと思います。自分はただ好きでやっているだけですけどね」
「シンクライアント・システム」は、一般的なパソコンとは違い、個々の端末がハードディスクなどの保存可能な記憶媒体を持たず、中央コンピューターともいえるサーバーに機能の多くを依存するシステムだ。ワープロや表計算などで作成したファイルだけでなく、システムのデータもすべてネットワーク経由で利用する。
最大の利点は、個々のパソコンに情報が保存されないため、セキュリティ対策が容易だということだ。高度情報化時代にあって、大切なデータの流出を心配する必要がないことは非常に大きなメリットといえる。機能がサーバーに集中しているため、パソコンの調子が悪くなってソフトを再インストールする竏窒ネどということも一切ない。
小林社長は話す。
「このシンクライアント・システムを、安価でありながら安定的で高性能なものにするため、キャリコ独自のシステムを開発、構築しています。すでに上伊那の複数の自治体が約1千万縲・千万円の費用をかけて大手メーカーのシンクライアント・システムを導入していますが、当社のシステムはこれらに比べ2分の1から3分の1程度の費用で済みます」竏秩Bなぜそんなことができるのか。
コンピューターを動かすOS(基本ソフト)は、米国に本拠を置く世界最大のソフトウエア会社「マイクロソフト」の「ウィンドウズ」にほぼ独占されている状態だが、これに対して「LINUX」(リナックス)はより安定性が高い上、基本的に内容が無料で公開=オープンソース=されている。
「これを基本にしてシステムを独自に設計、開発したことにより、リーズナブルな価格を実現できたんです」
このシステムは07年に宮田村役場に採用され、年内にも稼動を始める。村は歳出削減のためにフリーのオープンソースを中心としたシステムへの移行を積極的に進めてはいたが、一足飛びに最新のLINUXシンクライアントへ移行することにはためらいがあった。だが試しに使ってみたところ、動作の速さと性能の良さに感心する声が上がった。自治体としての導入は珍しいという。
カルテは医師が患者の情報を書き込む紙だが、この入力と管理をコンピューター上で行う「電子カルテ」のシステムを開発中だ。
医師は忙しい。開発に当たっては、画面に表示したカルテに素早く入力できることを第一に考えた。キーボードはもちろん、手書きであってもパソコンへの入力は手間がかかるため、それぞれの医師がよく使う用語をあらかじめいくつも登録しておき、一覧からタッチペンで指定する方法を採用した。もちろんキーボードでの入力もできる。
日本医師会の標準レセプト(診療報酬明細書)ソフトへの入力も自動で行えるほか、スタッフ間の業務連携のための機能も追加可能であり、院内全体の効率化にもつながる。
カルテは誰が、いつ追記、訂正したのか竏窒ネどの書き替えの履歴を正確に記録しておくことが求められる。患者についてのデータは最重要の個人情報だから、そのガードは最も気を使う点だ。そのため、改ざん防止のための機能のほか、データの暗号化機能も利用できるよう工夫した。
「8割方完成しています。開発には近くに住む医師の協力を得て、実際に使うユーザーの立場で使いやすいものにしたつもりです。大手によるお仕着せのシステムではできない、個々のニーズに合ったものを提供できると思いますよ」