雑穀栽培に協力
長谷非持
春日孝徳さん(73)
なんせ百姓が好きだもんで。それっきりえ竏秩B
一昨年から長谷地区で動き始めた「雑穀プロジェクト」。現在、同地域で活動するNPO法人「南アルプス食と暮らしの研究舎」を中心に、遊休農地の解消、地域の新たな産業創出などを目的として、雑穀の栽培方法や販売ルートの確立を模索している。その事業に、今年から地元農家として協力し始めた。
「去年から吉田さん(NPO代表)や信大の先生なんかが一緒になって、試験的に雑穀を作り始めて『そこそこいい』っていう話。今年は既存の農作業機械を使って機械化の試験もやるというし、ほんじゃあ一緒にやってみるかって」と語る。
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若いころは勤めながら米、花きなどを栽培していたが、花の価格が値下がりする中、退職後は米一本にした。 ともに生活する息子夫婦や孫も、農繁期には一緒になって農作業に取り組む。だから収穫は、家族みんなでその喜びを分かち合う瞬間。そんな農業が、何よりも好きだった。
一方で、高齢化に伴い地域農業の担い手は減少。野生動物による農作物被害の影響も受け、山間地を中心として遊休農地が増えている。今のところは何とか維持している農地も、高齢化のが進行する中、今後どうなるかは分からない。減反政策に米価の値下がりと、米作りを取り巻く状況は厳しさを増す。
農業をどうにかせんと竏秩Bそんな思いが強くなる一方だった。
そんな中、雑穀プロジェクトが動き始めた。雑穀そのものがいいことは分かっている。「見通しがつかない部分もあるが、何とか手助けして、成功させたい」。プロジェクトへの参加を決めた。
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今年は、昨年選定した栽培品種「シコクビエ」を、田植え機やコンバインなどの既存機械を使い、一部作業を機械化して栽培栽培することを目指していた。そのため、まずは苗を起こすことから開始。稲の苗は毎年おこしているが、雑穀は初めて。最初はどれくらい種をまけばよいのかなど、分からないこともあったが、ほとんど稲の苗と同じ方法で苗を起こすことに成功した。また、田植え機による移殖も、ほとんど田植えと同じだった。
「移殖の時期はちょうど田植えが終わったころ。作業が重ならないからいい」と語る。
一方、コンバインによる刈り取りは乾燥で苦労をしたものの、思いのほか多くの収量を確保できた。
「今年はあくまで機械化が目的だったから、肥料は最初に元肥として入れた有機肥料だけ。1アールだけ有機肥料を多めに入れてみたが、そこはほかのより8倍から10倍近く収量が多かった。高齢化が進む中、高齢者が農業を続けられるのは、せいぜい1、2アール。少し手間をかけて、そこそこ収量が確保できるなら、高齢農業者にも作りやすい」
また、国産雑穀の価値にも注目しており、減反政策の新たな転作作物となるのではないかと期待をかける。
「食料のことは一番大事。そのことだけはしっかりと考えていかないと。雑穀をつくることで地域の農業をどうにかできれば」