駒ヶ根市、学校給食へのすずらん牛乳、廃止の方向へ
約40年近く市内小中学校の学校給食に上伊那産の牛乳を使用した「すずらん牛乳」を導入してきた駒ヶ根市が、来年度から大手乳業メーカーの一般牛乳に切り替える方向で調整していることが11日、分かった。このことは2月末から3月の間に開く給食運営委員会で正式決定する運びで、決まれば今年の4月から、すずらん牛乳が学校給食から姿を消す。
すずらん牛乳は上伊那の酪農家が出荷する生乳を使用した上伊那農業協同組合(JA上伊那)オリジナルブランド牛乳。駒ヶ根市では脱脂粉乳から牛乳への切り替えた1967年から、地元で生産されていたすずらん牛乳を学校給食に導入。以降、毎年約3千人の児童や生徒がこの牛乳に親しんできた。
JA上伊那でも、学校給食用のすずらん牛乳は価格を下げて販売しているが、他市町村が供給している県で一括入札で購入した牛乳と比較すると、すずらん牛乳は1本当たり8円高い。そのため、その8円の半額を市が補助し、残る4円は各家庭で支払っている。
今回市が牛乳の切り替えを打ち出したのは、昨年から続く畜産飼料の高騰や原油高に伴ない、現行価格での納入が困難と判断したJA上伊那が、すずらん牛乳の価格を今より10円引き上げることを申し出たためだ。
これを受けて市は、保護者アンケートを実施。▽すずらん牛乳がよい▽どちらでもよい▽ほかの牛乳でよい竏窒フ3択で回答を得たところ「すずらん牛乳がよい」が4割にとどまったため、今回の決断に踏み切った。
しかし「すずらん牛乳がよい」に「どちらでもよい」を合わせると約7割。保護者は必ずしも値上げに反対している訳ではない。これに対し市は「地産地消や食育の観点から見れば地元の食材をということもあるが、今の財政状況ではこれ以上補助することは難しい」としている。
JA上伊那でも、学校給食用のすずらん牛乳は原価割れの状況。担当者は「現状では10円上げてとんとん。しかし、飼料や重油の価格が値上がりしている中、今後の見通しはつかない」として、あまり値上げできない学校給食への継続的な供給には煮え切らない態度を見せる。
駒ヶ根市では過去にも、大手乳業メーカーの牛乳に切り替えたことがあったが、保護者アンケートを実施した結果、すずらん牛乳を希望する声が7割を占め、翌年から再びすずらん牛乳に戻した経過がある。