信州大学農学部主査農場担当
宮田村北割
小田切宏志さん(43)
食や農について学ぶ学生らが集う南箕輪村の信州大学農学部。その一角に、地域の人たちに向けて農産物を販売する「生産品販売所」があるのを知っているだろうか竏秩B
置いてあるのは学生が現場実習の中で一生懸命に育ててきた作物や、現場実習をサポートする技術職員が丹精込めて育てた作物など。アスパラにシイタケ、カボチャにジャガイモ、リンゴ、ブドウ、米竏秩B季節に応じてさまざまな野菜や果物、花などが並ぶ。また、例年販売開始2日で売り切れてしまう農学部ブランドの「山ぶどうワイン」をはじめ、リンゴジュース、ジャムなどの農産物加工品も学生らが作ったものだ。
その管理担当となって3年、さまざまな工夫を凝らしながら販売、PRに励んでいる。
「学生さんも現場の職員も一生懸命作っている。品質だってほかに見劣りするとは思っていない。でも、まだまだ認知度が低いので、多くの人に知ってもらえるよう、少しずつ少しずつ工夫を重ねています」と話す。
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大学の事務職員になって25年。過去には国立信州高遠少年自然の家(現在は青少年の家)に出向したこともあったが、現在の仕事はほかの学部で経験してきた事務仕事とは異なる変わった仕事だ。
「でも、今の仕事が向いてるか向いてないかと言われたら、向いてるのかなと思いますね」と笑顔を見せる。
季節によって、収穫される作物はさまざま。その量も異なる。鮮度を失わないうちに、お客さんに買ってもらうため、即日販売を心掛けている。
昨年から始めたのは学部のホームページに学生の実習風景を掲載すること。学生らの普段の実習風景を見てもらうという試みで、自ら現場に出かけていって取材。それをホームページにアップする。
農学部とはいえ、これまで農作業をしたこともないという生徒も多い。昨年6月に取材した米の低農薬栽培の実習では、学生らが旧式の手押し式の除草機で田んぼの除草を行った。泥に足をとられつつも、懸命に作業に励む学生らの姿を見ると、自分まで楽しくなる。指導を受けつつ、さまざまな作業に取り組む学生らは常に真剣だった。実習風景をホームページに掲載するようになってからは「私たち載っていたよ」と、生産品販売所を訪れてくれる学生も出てきた。
「その一言が嬉しいですね」と話す。
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最近は自身の周辺でも「あれがおいしかったからまた買ってきて」と頼まれることも増えてきた。
「やっぱり、以前来てくれたお客さんが、『おいしかったよ』と言ってまた来てくれることが一番嬉しいです。現場では学生も職員も一生懸命作ってくれている。それが全部売れて『全部売れましたよ』と報告できれば、現場のやる気にもつながり、また良い農産物ができる。そんな良いサイクルができれば。目標を立てて、ちょっとずつ達成できるように。実現できるか分からないけど、今は週末などにイベント開いて農産物を売ったりできないか考えています」