信大農学部の野口俊邦教授が最終講義
森林経済学などを専門とし、国有林問題、林業労働者問題など、数々のテーマで研究成果を残し、本年度で信州大学農学部を退官する野口俊邦教授(65)による最終講義が23日、同学部であった。これまでの教え子たちや森林分野の研究者などが集まる中、これまでの自身の歩みと研究を振り返り、今後の大学への期待などを語った=写真。
専門学術誌『林業経済』の編集員などを経て、野口教授が同学部に着任したのは1978年。以降、それまでタブーとされてきた国有林問題をはじめ、中小林家問題、林業労働者問題など数々の研究に取り組み、提言をしてきた。
最終講義では、自身の変遷とともにこれまでの研究について紹介。林業労働者問題については、現在の日本林業の主な担い手の平均年齢が50代となっている一方、林業専業労働者の年間収入は300万円に達していない深刻な状況にあることを現場調査から明らかにし「これが林業専業労働者の実態であり、こうした人たちは不安定就業労働者として、考えるべき。一方でこうした人たちに日本の林業を担ってもらっているという問題は、いまだ解決されないまま」と語った。