イチゴ栽培の廃液活用、一定の成果
伊那市と信州大学が連携事業として06年から伊那市西箕輪の「みはらしいちご園」に設置した研究用ハウスで試験研究をしている「イチゴ栽培の廃液活用」。イチゴは液肥で栽培するが、苗はすべての液肥を吸収しきれないため、約20%がそのまま垂れ流しとなり、環境負荷がかかっている。その負荷を減らす目的で廃液を再利用したトマト栽培ができないか研究しているが、2年目も終わりに近づき、ほぼ、廃液を出さないで再利用する方法が確立しつつある。
研究を担当する農学部の大井美知男教授は「イチゴの廃液をほとんど出さないで栽培できるようになり、見通しがついた。トマトが出来ることは分かったので、今後はトマトの品質を上げるよう、溶液を改良していきたいとしている」と語る。
研究は3カ年事業。2年目の本年度は、イチゴ栽培で出る廃液にトマトが生長するよう一部養分を補い、ハウスの中のトマト苗に施肥。根の部分は人工培土を入れた袋で覆われているため、再利用した液肥もすべてこの人工培土の中に吸収され、トマトの養分に変わる。
しかし、イチゴ栽培は冬から春にかけてで、トマトを栽培するハウスの温度を維持するにはコストがかかるため、実用化に向けてはこうした課題の解消も必要となる。