原田秀人さん(62)飯島町七久保千人塚
そば工房麗嶺庵店主
昨年11月11日に飯島町七久保の千人塚公園入口にそば工房「麗嶺庵」をオープン、4カ月が経過し「思っていたよりも順調、お客様は少ないが、口コミや1度来店していただいた人が友だちを誘ってきてくれる。春になり、季節もよくなれば、お客様も増えるのでは」と期待する。
1945年飯田市内に生れ。地元の精密工業に昨年7月まで勤務した。
そばとの出会いは8年前、ネパールのカトマンズで、日本で修業した現地人のそば屋でざるそばとそばがきを食べて「すごく、おいしい」と感動。帰国後、独学でそば打ちを始めたが「本格的にそば打ちを学ぼう」と、有給休暇や土日曜日を利用し、上京し、そば打ちの専門学校「江戸東京そばの会」で二八そばを基礎から学んだ。 学校では朝から晩まで、1番少ない基準1キロを1日20回以上打ち続けた。「習い始めた1、2年は切りの庖丁さばきが難しいと感じた」。3カ月基礎コースを終え、さらに研修生として3年間腕を磨き、そば打ちに自信がつき、出店の場所探しを始めた。
西に中央アルプス、東に南アルプスが連なり、里にはそばの花が咲く、七久保の地を見て、一目で気に入り、売地の看板を見て即決したという。「この地で自分で栽培したそばを提供したい」と、店の建設に並行し、8月盆過ぎに、隣接の休耕田に秋そばを蒔き、10月に200キロを収穫した。
現在、店で使用しているそばは、生産者とほ場を指定したこだわりの常陸秋そばだが、順次、自分で収穫したそばに切り替えていく考え。「自分で栽培したそばを試食してみたが、食味はいい」。
そばやつゆの味に大きな影響を与える水は、冬期間は飯田市の日本百名水の1つ、猿庫の泉から汲んでいるが、春になったら、与田切公園の「越百の水」を使用する「越百の水は猿庫の泉と比べて、全く遜色のない良い水質をしている」。
つゆの鰹節は本場から取り寄せ、しょう油、みりんも味を見ながら、そばに合う品を厳選した。
薬味の辛味大根は下伊那郡下條村の「親田辛味大根」を使用。畑を指定し、1番良い品を買い入れているとか。
厨房には電動の石うす挽き機の横に、天然記念物の蟻巣石の手挽き臼もあり「荒挽きにしたり、いろいろな挽き方ができ、味に差がでる」とか。
そば打ちの基本は水回し。水回しがよしあしが庖丁さばきにも影響し、味を決める。丁寧に水回しを行い、体全体でこね、コシを出す。1・2ミリまで薄く伸ばす「薄いと、短時間でゆでることができる」とか。
「ものすごくうまいそばを出したい。そのための準備、研究に時間を掛けたい。会食にも力を入れ、そばを使ったいろいろの料理を食べてほしい」と意欲的。
この日、町内の小池好高夫妻を誘って来店していた田切の堀内富重さんは「素材にこだわり、自信を持って提供していることが分る。景色もいいし、店主や奥さんの人柄にも引かれている」と話す。
営業日は金土日曜日の週3日。営業時間は午前11時縲恁゚後3時(予約があれば、時間外も対応する)。
メニューはざるそば、かけそば、山芋かけそば、ざるそば・手挽きなどのほか、5人以上の予約でそば会席も提供する。4月からあったかいそばに替わり仙人そばを提供する。
詳細は同店(TEL86・6456)