「ドキュメンタリー山頭火」出前上映会
漂泊の俳人種田山頭火(1882竏・940年)のドキュメンタリー映画の上映会が29日、伊那市駅前ビル「いなっせ」で開かれた。ドキュメンタリー山頭火をつくる会主催。伊那毎日新聞社など後援。上映会では山頭火の生涯や人物像に迫った3篇のほかに、今回初公開の、井上井月(1822竏・887年)と彼を慕い墓参に訪れた山頭火の軌跡を描いた作品も上映。約80人が観賞した。
映画の制作者は元名古屋テレビのプロデューサー大塚幹郎さんと同局の元カメラマン山下文雄さん。2人はドキュメンタリー山頭火をつくる会として、04年から映画制作に取り組んできた。
今回上映したのは、山頭火の生涯をまとめた「山頭火の生涯 ダイジェスト」(12分)、山頭火と交流のあった人たちや山頭火の顕彰運動を続けている人たちのインタビューをまとめた「ViVa山頭火 ふるさと編」(48分)、34年に井月の墓参に向った山頭火が飯田に立ち寄り、病気により墓参を断念した時の彼の軌跡をたどった「信州飯田の山頭火」(10分30秒)、井月墓参に伊那谷を訪れた山頭火を追いながら井月研究家の春日愚良子さん(伊那市)の解説のもと井月の人物像を探り、二人の共通点に迫った「ViVa山頭火 漂泊の俳人・井月を訪ねて」(35分)。
映画では数々のインタビューにより山頭火や井月の暮らしぶりや様子などが浮き上がり、作中で紹介される彼らの句をより味わい深くしていた。特に「井月を訪ねて」では題材が地元に馴染みの深い井月ということもあり、彼の句に感嘆の声を洩らす来場者やインタビューでの「バッチイ人だった」という井月評につい笑い声を洩らす来場者もいた。
ドキュメンタリー山頭火をつくる会では今後さらに取材を重ね、今までの総括として「最後の放浪 山頭火1939」(仮)の製作に取り組む。完成予定は11年。