萱野高原特別保護地区公聴会
県は17日、萱野高原鳥獣保護区特別保護地区の期間更新に伴う公聴会を箕輪町役場で開いた。平沢豊満箕輪町長をはじめ、三日町、福与区の両区長や両生産森林組合長など公述人8人が、県職員から説明を受け、それぞれの意見を述べた。
鳥獣保護区は鳥獣の保護や管理を図るために「鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律」(鳥獣保護法)に基づいて県や国が指定する区域のこと。指定区域での狩猟は禁止(有害鳥獣捕獲の許可を得た場合は除く)となる。鳥獣保護区の中でも、特に重要な地区は特別保護地区に指定することができ、現存する建物を除き、建築物や工作物の設置などに鳥獣の生息に支障がきたさないよう制限を設けることができる。
鳥獣保護区、特別保護地区ともに期間は10年間で、県内では145カ所の鳥獣保護区と10カ所の特別保護地区がり、上伊那には箕輪町の萱野高原特別保地護地区のほかに伊那市長谷の三峰川上流特別保護地区がある。
萱野高原鳥獣保護区と特別保護地区は1968年に指定。現在までに3回の更新を経ており、鳥獣保護区は1220ヘクタール、そのうち南西の133ヘクタールが特別保護地区に指定されている。
県では10月31日をもって同鳥獣保護区特別保護地区の期間終了となることから、特別保護地区指定更新に対する意見を聞くために、今回聴講会を開いた。
県は指定目的として、地区内には「小鳥の森」や、植物園、水芭蕉の自生地があるなど自然環境豊かな土地であり、多用な鳥獣の生息地となっている、ことなどを挙げた。
また農業などの被害状況として指定区域内での農業および林業被害はないが、下流域の三日町地区においてニホンジカによる果樹の芽の食害やイノシシによる水田の踏害などが発生している、と発表した。
平沢豊満箕輪町長は「景色をパノラマ的に眺望でき、箕輪町の観光資源になっている。箕輪町猟友会からも強い要望がある」と賛成。
笠原清宣上伊那農業協同組合箕輪町支所長は「有害鳥獣の増加と同地域が保護区であることとの間に因果関係があるのか、専門家に調査すること」を条件に賛成。
小林弘人箕輪町猟友会長は「狩猟者の立場から、指定地域内は道路整備が整い、通年、車両、歩行者の入場通過が多いこと、民家に隣接しているため、指定解除一般猟区では安全が確保できない。猟犬による人畜への被害も考えられる。要請により駆除等必要があればすべての状況に精通した者が従事すれば問題はないと考えられる」と賛成。ほかの公述人もすべて賛成意見を述べた。
村井仁長野県知事は今回の聴講会の意見を踏まえ、5月13日に同地域の鳥獣保護区特別保護地区の更新に対する諮問を長野県環境審議会にする。