小林文彦さん(65)飯島町田切
「日本さくらの会」さくら功労者
どこまでも続く、淡いピンクの桜並木-。飯島町田切の一級河川藤巻川の下流沿いは春になると多くの見物人、カメラマンが訪れる。樹齢15年の桜の回廊が百本1キロにわたり咲き誇り、桜の名所になっている。
桜並木の植樹から中心的にかかわり、保護育成活動を15年間、ほとんど1人で実施してきた。その献身的な保護に対する情熱と努力は高く評価され、このほど、日本さくらの会から「さくら功労者」として表彰された。
「田切南割耕地の皆さんの協力でいただいた。栄誉ある賞を励みに、成木になるまで、後15年間、しっかり管理を続けたい」。
1943年田切生れ。地元の高校卒業後、「木が好きで、農業と兼業ができる」と、庭師に弟子入り、75年には一級造園技能士の資格も取得、独立し「緑翠園」を開園。主に庭木の手入れを業としている。
家は藤巻川の近くにあり、川のせせらぎを聞きながら育った。
藤巻川は県営ほ場事業で改修され、草刈など河川や管理道の管理は地元が行っていた。 15年前、友人グループ「湧泉会」や当時総代を務めていた南割耕地役員に「ただ草を刈っているだけではつまらない。川沿いに桜を植えよう。木が大きくなれば、草刈も楽になる。環境もよくなり一石二鳥では」と提案。了承され、日本宝くじ事業団からソメイヨシノの苗木百本の寄贈を受け、みんなで延長1キロに10メートル間隔で植栽した。
以後、草刈や施肥は耕地役員が中心になって行っているが、せん定や消毒など保護、育成作業は造園業の小林さん1人で実施してきた。
桜は管理道に沿って植えられているため、地上から4メートルは枝を切り落とさなくてはならない。桜は73の割合で南に枝を張るため、毎年せん定は大切な作業になっている。
また、桜はアメリカしろひとりなど毛虫がつき易く、消毒も必要。「油断すると、アメシロがついたり、テングス病になってしまう、目が離せない。家の近くなので、仕事の行き帰り、常に桜の健康状態を観察し、子どもを育てるように、桜を育ててきた」とか。
桜は成長が早い、10年前から見事な花が咲くようになり、毎年南割耕地では自前の桜では花見の宴を催している。今年は4月13日だったが、あいにくの雨模様で、場所をJA倉庫で行ったが、大いに盛り上がったとか。 植栽から15年「年々、りっぱな木になって、良い花を見せてくれる。川に張り出す枝には勢いがあり、今後が楽しみ。樹齢15年は人間でいえば中学生。やんちゃざかり、伸び盛り。もう15年しっかりと面倒を見て、立派な成木にしたい」と話す。(大口国江)