中尾歌舞伎 春季公演
保存会員の熱演に、大きな拍手
伊那市無形文化財に指定される中尾歌舞伎の春季公演が29日、長谷の「中尾座」であった。演目は「恋女房染分手綱(そめわけたづな)重の井子別れの段」。観客300人が詰めかけ、地元の保存会員の熱演に見入った。
初公演の「恋女房竏秩vは、由留木家の息女・調姫の乳母・重の井が、お家の存続にかかわる調姫の縁談などから、生き別れた馬子の息子・三吉に名乗ることができず、泣く泣く別れる親子の悲哀を描いた作品。
子役の登場に、観客は拍手を送ったり、おひねりを投げたり。縁談を嫌がっていた調姫がすごろくに勝って「はよ、行こう」と機嫌を直す場面など所々で笑いを誘い、会場を沸かせた。見どころの子別れは、涙を流す親子の姿でしんみりとさせた。
中尾区に住む70歳の女性は「子役も上手で、泣かされた。勤めのあいさにけいこするのは大変だろうけど、毎回楽しみにしている」と話した。
会場では、中尾歌舞伎のオリジナル手ぬぐいが販売された。
中尾歌舞伎は江戸時代から歴史があり、一時、戦争で途絶えたが、86年に復活。例年、春と秋に定期公演を開いている。