町民手作りの「ふるさとの昔話第2集」発刊
飯島町郷土研究会
民話の聞き取りから執筆、挿絵まで、飯島町民手作りの「ふるさとの昔話第2集」が完成。12日夜、町文化館で、飯島町郷土研究会の桃沢匡行会長から聞き取りや執筆、挿絵制作などの協力者に手渡された。
「ふるさとの昔話」は全230ページ、B5判、飯島町に伝わる「美しく心あたたまる昔話」47編57話を掲載し、全編にカラーで挿絵を入れ、小学生でも読みやすくした。
第1章は歴史的な事実を踏まえた物語、第2章は民話的な話、第3章で町の歴史を分りやすく記した。
第1章の中には高遠原に実際にあったマムシの毒を抜くために首だけだして埋められた「首だけ男」。「抜け参り」で伊勢神宮に向った勘太郎、家では大騒ぎ、葬式の相談をしている時、天狗にさらわれたことにして杉の梢から飛び降りた「空から降ってきた男」など、未発表の物語もある。
第2章には「あんころ餅を食べた本尊様」「おかねさま」など、楽しい民話を掲載。
第3章には「羊満水」「製糸落とし」「水戸浪士の通行」「満蒙開拓団」まで、江戸時代から戦後までの町の歴史の中から特筆すべき事柄を並べた。
挿絵は町内の6人が
担当、漫画チックな楽しい絵から、芸術性の高い切り絵、水彩画までそれぞれの作者の特徴が出ている。
郷土研究会は1978年に「ふるさとの昔話第1集」を発刊。以来「第2集」をと、約30年間構想を温めてきた。県の「ふるさと支援金」を受け、昨年7月に、同会が呼び掛け、町内で昔話や読み聞かせに関心のある人、趣味で絵や漫画を描いている人など公募し、編纂会を立ち上げ、制作を開始した。20人が分担し、お年寄りからの聞き取りや執筆、物語に合わせて約50枚の挿絵も制作した。
桃沢会長は「昔話を通じて、地域の歴史に関心を持ってほしいと願い発刊した。祖父母から孫に伝えられた昔話が、核家族化に伴い、伝承の手立てが失われつつある今、本書が少しでもその役割を果たすことができれば」と期待する。
また、挿絵を描いた横田克年さんは「内容に合った絵を作ることが大変だった」。松村澄人さんは「人物の動きを表現するのが難しかった」と振り返る。 販売は飯島文化館、飯島陣屋、頒布価格2000円、300部限定。
なお、挿絵原画展を6月1日まで文化館で開かれている。