【NHKビデオコンクールで優秀賞 石川はつめさん】
伊那市美篶上原
今年の第19回NHK長野ビデオクラブ作品コンクールで、最高賞に次ぐ優秀賞に入賞した。タイトルは「こいの季節」。自宅の庭のいけすで飼っているニシキゴイの産卵と稚魚の成長の様子を3カ月にわたって撮影した。
「コイの生き生きとした動きをとらえるのに苦労しました。でも一番困ったのは、規定で5分以内に編集しなければならなかったこと。撮影した映像は60分テープ3本あったので、残したいところが多くて本当に悩みました」
自宅にある編集機器の調子が悪くなって修理に出したため時間が足りず、最後は締め切りに間に合わせるのがやっと。何とか仕上げはしたが、まだ手直ししたい部分もあったという。
ナレーションも初めは自分で入れたが、娘が「声が暗いよ」と言って代役を買って出た。もう一人の娘は映像の雰囲気に合う曲を作ってつけてくれた。
「家族みんなが協力してくれました。でもそれ以上に、これまで指導してくれた伊那ビデオクラブの飯島会長さんはじめ、会員の皆さんのおかげだと感謝しています」
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ビデオを始めたのは96年。当時勤務していた会社に、アマチュアビデオ愛好者らでつくる伊那ビデオクラブ会長の飯島さんがいた。撮影したビデオを昼休みなどに見せてもらううち、自分でもやってみたくなり、飯島さんらの勧めもあって思い切ってビデオカメラを購入。
自称「機械音痴」で、ボタンやスイッチの多さに戸惑ったが何とか操作方法を覚え、勇んで自宅周辺の風景などを撮影。飯島さんに見てもらったが、評価は「目がぐるぐる回るようだ」と散々だった。肉眼で見るのと同じ感覚でレンズを上下左右に振ったため、落ち着きのない映像になってしまったのだ。「上達したければ、クラブに入るのが近道だよ」と言われ、クラブ入会を決めた。
「最初に教えられたのは、とにかく画面を安定させること。カメラがぶれないよう、面倒でも三脚を使うことや、パン(左右の移動)はゆっくりと竏秩Aズームも使い過ぎないように竏窒ネど、基本となるたくさんのことを本当に丁寧に教えてもらいました」
その後はどこへ行くにもカメラ持参でさまざまな物を撮影。テレビを見ていても撮影のことが頭を離れず、ズームはこうすればいいのか竏窒ネどと常に考えていた。その熱心さは飯島会長も感心するほど。次第に熱が高じて自分専用の編集機器も購入し、家事の合間の少しの時間も惜しんで撮影や編集に打ち込んだ。そのかいあって機械音痴も克服し、複雑な編集操作も人手を借りずに自在にこなせるまでになった。
「特に趣味はなかったので、ビデオを始めなければきっと今も何もしていなかった。だからクラブに入って本当によかったと思います。これからもクラブのみんなと一緒に、多くの人に見てもらえるような作品づくりに取り組んでいきたい」
(白鳥文男)