伊那市新ごみ中間処理施設用地選定委、候補地7カ所の絞り込みはせず、記名投票で最終候補地を決定
上伊那広域連合の新ごみ中間施設の建設場所を検討する伊那市の用地選定委員会(伊藤精晤委員長)が29日、伊那市であった。委員会は当初、これまでに絞り込んだ候補地7カ所から更に数カ所まで絞り込みを行った後、委員による投票で最終候補地を決定する予定だったが、「投票には最大限、選択肢の幅を持たせたい」とする委員の声を尊重し、最終投票は7カ所すべてを対象とすることになった。最終投票の対象となる候補地は、田原(東春近)、野底、青島、表木(西春近)、八ツ手(手良)、上山田・下山田(高遠町)、桜井(富県)の7カ所。投票日は6月12日。同委員会の全委員(23人)による記名投票とする。投開票は公開するが、投票者の名前は公開しない。獲得票数が最も多かった地区が最終候補地となる。
委員会はこの日、7カ所の候補地を更に絞り込む方法を議論。大方の委員が「総合点が高い上位何カ所にすべき」と発言したが、最終的に絞り込みは行わなかった。しかし、この日の議論の流れから見て、参加委員の多くが建設関連項目と環境保全項目の点数を合計した総合点を重視しており、最終投票にはその意向が大きく反映されると見られる。
総合点が最も高いのは168点の桜井。以降、上山田・下山田(140点)、表木(135点)と続く。
市の認識ミスで、今年4月になってから候補地であることが分かった下山田区からは候補地となることを受け入れない趣旨の意見書が出されたが、ほかの候補地との公平性を考え、意見は尊重するものの、下山田を含むこれまで上山田としてきた場所を候補地の一つとして残すことにした。
下山田区の意向をどう判断するか
市の認識ミスにより、先月24日、新ごみ中間処理施設の候補地であることが分かった高遠町下山田区。新ごみ中間処理施設の建設候補地を検討してきた伊那市の用地選定委員会(伊藤精晤委員長)は、ほかの候補地との公平性を確保するため、同地区に対し、これまで各候補地にしてきたのと同様の対応をとる時間を設け、意見がある場合は意見書の提出を認めた。それを受け29日の用地選定委では、下山田区から提出された意見書が示された。
そこに示された下山田区の方針は、今後も「候補地」ではなく、「隣接区」として、対応していくというもので、下山田区としては、候補地であることを受け入れない方針を示した。
伊藤委員長は「下山田区には不本意だと思うが、この意見を受けて候補地から外すというのは、ほかの候補地との公平性を考えれば困難。意見は尊重する」とし、従来どおり、下山田区を含む、これまで上山田区としてきた区域を候補地の一つとして、最終投票の候補地に残した。
上山田区は候補地7カ所の中でも地元の意向も好意的であり、有力候補地の一つと見られてきたが、各委員が最終投票にこの下山田区の意向をどう判断するかが今後、注目される。
この日の検討では、「やはり市民からの理解を得るには総合点で判断すべき」などといった声が多数出た。
総合点で見ると、上山田区(下山田を含む)は最も得点の高い桜井天伯に続く有力候補地。しかし、仮に下山田区が候補地に想定している場所への建設を拒んだ場合、上山田区の対象区域だけでは十分な建設用地が確保できない。
委員会はこれまで、客観的要素に基づき最終候補地を決める方針で検討を進めてきたものの、建設用地の確保に困難が予想される候補地が、果たして最終候補地となりうるのか。その判断は、委員の判断に委ねられている。