宮田高原牧場2年ぶり再開
一昨年7月の豪雨災害の影響で閉鎖を余儀なくされた宮田村宮田高原牧場は5日、2年ぶりに再開して8頭の牛が入牧した。標高1650メートルの高原に広がる7・5ヘクタールの涼しい牧草地に、夏場の4カ月間放牧する。頭数は閉鎖前を下回り、飼育農家減少などで将来的な見通しも厳しいが、運営する村の産業建設課は「高原の環境維持や観光面でも牧場は欠かせない」と存続したい意向を示す。
「牧草の状態を心配したが大丈夫。元気に育ってもらえれば」と村農政係の担当者。
8頭の牛はいずれも2歳までの子牛で、駒ケ根市と箕輪町の飼育農家5戸が託したもの。うち7頭はメスで、成長して乳牛となる。
約70年の歴史を誇る同牧場はかつて、村内農家の牛も含め30頭以上の放牧があったというが、近年は頭打ち。3年前は16頭、閉鎖前の2年前は9頭にまで減った。
採算ベースにするには20頭ほどを確保しないと難しく、存廃の論議対象にもあがる。
平沢正典村産業建設課長は「放牧だけを考えると厳しいが、高原全体の観光もとらえて考えたい。のどかな牧歌的な雰囲気は残したいのだが」と話す。
一昨年の豪雨で、唯一通じる寺沢林道の崩落により閉鎖が続いた宮田高原。7月からはキャンプ場も本格オープンし、災害を乗り越えて新たなシーズンが始まった。