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富県さつき会会長
伊那市富県
橋爪謙司さん

富県さつき会会長<br>伊那市富県<br>橋爪謙司さん

 玄関前をはじめ車庫や庭に、美しい色合いの見事なサツキの鉢がずらりと並ぶ。その数約100鉢。さらに盆栽も100鉢ある。
 「サツキは咲き分けがある。真っ白の花の中に赤い花が咲いたり。それがいいじゃんかね」
 20年ほど前、サツキの好きな弟が苗木を送ってくれたのがきっかけ。「やみつきになっちゃった」。定年退職後、本格的にサツキを育て始めた。
 苗木を購入したり、挿し木をするなどして増やしてきた。品種は、山の光、日光、煌陽、大盃、華宝、翠扇などがあり、花色も白、朱、とき色などさまざま。単色もあるが、咲き分けの美しい鉢が多い。
 管理で大切なのは、根が張って木が弱るのを防ぐための植え替えと、花が咲いた後の摘み取り。あとは水かけと肥料さえやれば咲くという。
 「花の後の摘み取りが大変。全部しっかり取らないと、次の年に咲かない。来年咲くのが楽しみだから」と精を出す。
 「サツキは花を楽しみ、その後は盆栽として楽しむ。2度楽しめるのがいいところ」。枝ぶりにもこだわり、枝が棚になるように小さいうちに針金で固定するなどして成形する。咲き分けでピンク色などが咲いた枝は、間違えて切らないように目印のテープを巻くなど注意を払い、大事に育てるという。
 昨年は、霜の被害で上手く花を咲かせることが出来なかった。そのため今年は、「飲んで帰ってきても天気予報をよく聞いといて、霜の予報が出たら霜除けをして慎重に育てたよ」。そのかいあって、「今年は大きくて本当にいい花が咲いた」と満足気だ。
 6月5日から4日間、富県さつき会の展示会を開いた。鉢は丹念に油で磨き上げ、盛りと咲き誇るサツキを出品。来場者250人を楽しませた。
 これから咲く遅咲きのサツキを楽しみに、花が終わり始めた早咲きの鉢の手入れが始まる。それと同時に盆栽の手入れも怠らない。「サツキをやってたら盆栽にも興味が沸いてきて、めた増やしちゃって」。五葉松、錦松、ブナ、アケビ、柿など数えればきりがない。
 「道楽ってもんだ。仕事は嫌だけど、これはごしたくない。農業しながら暇見ちゃやる。好きじゃないと出来ないね」。道楽とはいえ、全部で200鉢もの手入れ。「サツキでも100鉢くらいないとやる気にならない。熱が入らないからね」。そう言って楽しそうに笑った。(村上裕子)

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