上伊那医師会と伊南行政組合が昭和伊南総合病院の夜間一次救急診療に関する協定を締結
昭和伊南総合病院に勤務する医師の負担軽減策として、地域の開業医が夜間の一次救急診療の一部を担うことを検討してきた伊南行政組合(組合長・杉本幸治駒ケ根市長)と上伊那医師会(神山公秀会長)が1日夜、協定を締結した=写真。今後は週3日、南部地区の開業医22人が交代で同病院の救急外来で午後7時から午後10時までの夜間一次救急診療を担う。開始は早ければ7月中となる見込み。
取り組みは医師不足が深刻化する中、仕事が激務化する公立病院勤務医の負担軽減を目的として上伊那広域連合が上伊那医師会に協力を求めたもの。すでに伊那中央病院では昨年7月から始まっている。
報酬は1回につき5万円。時間延長または時間短縮があった場合、報酬もそれに順じて増減する。協定期間は来年3月31日まで。伊南地区は伊那地区より開業医の数が少ないため、協力日数を週3回に限定した。
上伊那医師会の神山会長(68)は「開業医として、公立病院の夜間診療に何とか協力したいと考えた。夜間一次救急は『昼間行く時間がないから行く』というものではなく、明日の朝まで待てない人が来る場所。医師という資源に限度がある中、地域住民のみなさんには適切な利用をしてほしい」と呼びかけた。
すでに先行して開業医による夜間一次救急診療を開始している伊那中央病院では、1日平均で4・3人の患者を開業医が診察しており、6月30日までに訪れた患者数は延べ1199人になっている。
上伊那医師会の神山公秀会長(68)は1日夜、昭和伊南総合病院の夜間一次救急診療に関する協定書に調印した場で「引き続き夜間の一次救急センターの開設も視野に入れ、今後の医師会としての協力方法を検討したい」と語った。
開業医が夜間の一次救急を担うためのセンターの開設は、上伊那の公立3病院事務長、8市町村担当課長らでつくる上伊那医療問題研究会が上伊那医師会に検討を求めていたが、昨年10月「現時点で数箇所に開設した場合、医師供給は困難」などといった理由から、上伊那医師会はセンター開設を当面見送る方針を示した。
また、伊那市が旧中央病院跡地に保健センターを移転新築する機会に、そこへ夜間一次救急診療センターを併設する案もあったが、今年5月、センターの併設はしないことを明らかにした。
しかし、神山会長は「諏訪地区などで実施している夜間一次救急センターへ開業医がつめて、診療に当たるということも視野に入れて今後の協力体制を検討している。センター構想も依然として検討課題として残している」と語り、さまざまな検討を重ねながら、3月の段階で再び今後の方針を話し合いたいとした。