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長野県自主防災アドバイザー
伊那市山寺
河合邦房さん 関川重雄さん

長野県自主防災アドバイザー<br>伊那市山寺<br>河合邦房さん 関川重雄さん

 今年1月下旬、長野県から「自主防災アドバイザー」の委嘱を受けた。南信で20人、伊那市3人のうちの2人で、山寺区上村町自主防災会で共に活動している。
 河合さんは、自主防災会発足時からの会長。役員は3年任期で、今年で2期4年目を迎えた。関川さんは伊那市民生児童委員協議会長でもあり、「自主防災会になくてはならない存在」という民生委員の立場で会発足から関わっている。
 自主防災アドバイザーは、市町村や県と連携して自主防災活動を支援するボランティア。任期は3年。年1回、県の研修を受けるほかは、地域住民により近い立場で、市町村職員と一緒に自主防災組織の立ち上げ、防災訓練、支え合いマップ作りなどの相談に乗り指導、助言をする。
 「説明してくれと言われれば、いくらでもする」。2人には、上村町自主防災会で培ったノウハウがある。
 上村町自主防災会は05年6月、「実際に行動できる自主防災組織が必要不可欠。自分たちで出来ることは自分たちでやろう」と発足した。その背景にあったのは、04年の台風23号で戸谷川が氾濫し伊那北駅前が浸水した災害経験。隣り地区のため応援に駆けつけたが傍観するしかない現実に、町総代が会長を務め1年で組織更新する当時の自主防災組織では有事に機能しないことを実感したからだ。
 会員は男女40人。これまでに自主防災緊急連絡網、防災地図、救助マップ、危険個所マップを作成。救助マップは、緊急時救助承諾書の作成で各戸を回り、理解を求めて頭を下げ、当初60%の回答率も今は100%になった。梅雨期の防災訓練と秋の救護訓練、備品の手入れ、消火栓点検、貯水池の点検や泥上げのほか、大雪の日には1人暮らし世帯の雪かきもする。
 「会員はすごく盛り上がっている。ただ町民が乗ってきてない。それが切ない」と河合さん。200世帯560人、さらにアパートの住民110人余。大災害発生時の救助は2日は来ないと考えた場合、会員40人だけでは限界がある。「これからの勉強会やPRだと思う。住民の意識向上の働きかけが課題」と関川さんはいう。
 「4年目でやっと余裕が出来てきた」自主防災会。医療関係者の入会勧誘の検討など、活動は次の段階を迎えている。
 「地震、災害の怖さを経験しないと真剣に考えてくれない」。防災意識を広める難しさも知る2人。課題も含め、これまでの歩みすべてが自主防災アドバイザーとしての助言に生きてくる。
 「伊那市の住民支え合いマップ作成率は21・8%。中心市街地がすぽっと抜けてマップがないことが一番心配。この3年で少なくとも60%にしたい」と関川さん。河合さんは「自分たちがやったことを、皆さんに優先的にやってもらうよう勧めたい」という。(村上裕子)

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