竹製のとんぼ販売から1年
奨学金でベトナムの孤児5人が高校進学へ
ベトナムの障害者や孤児支援を目的としたNGO(非政府組織)「マイニャーベトナム」(宮島洋子代表)が、とんぼの形をした竹製がん具を販売して1年が経った。売上金は341万円余と予想を大きく上回った。その一部を奨学金として使い、9月からベトナムの孤児ら5人が高校へ通う。
竹製のとんぼは、ベトナム北部ハタイ県に住む身体障害者や孤児らが作っている。やじろべえのように、とんぼの頭を視点にバランスを取って止まる、ベトナムの民芸品。1個200円で▽がん具を作った障害者や孤児らの賃金▽がん具を作る作業所の整備▽孤児が学校へ通うための奨学金▽とんぼ販売のチラシ代など必要経費竏窒ノ各50円を充てる。
目標は年間5千個の販売だったが、1万6千個余。とんぼを置く竹製の台も2千個以上売れた。
奨学金は、両親がいないなど家庭の経済的な事情で高校進学を断念しなければならない子供に対し、3年間の学費、教科書代、寮費など最低限必要な費用を支援する。
年間1人当たり8万円かかり、5人の3年間分120万円を確保するため、8月末までに2万個を販売したいと考えている。
宮島代表は3月上旬、ベトナムを訪れ、奨学金を送る子供の家庭事情や学業成績を見て選考した5人(いずれも15歳)と会い「楽しんで勉強してほしい」と伝え、ベトナムを支える人材になればと期待する。
また、とんぼの製作現場も初めて視察し、製作費85万円を渡した。障害の程度によって竹を切ったり、赤や青などカラフルに色付けしたりと作業を分担し、黙々と働く姿を見て、関係者から「とんぼを作ることで、障害者や孤児が自分の存在価値を見いだせていると聞いた」。
現場は民家の軒先を借りているが、当面は現状のままで構わないとしていることから、販路拡大のため、木工絵画の取り扱いなど効果的な支援を検討中。
とんぼは伊那市を中心に県内7カ所で販売しているほか、イベントや高校の文化祭などにも呼ばれ、取り組みの輪は広がっている。
ハッチョウトンボの保護・育成などに取り組む市内の新山山野草等保護育成委員会からも110個の注文が入り、13日、「トンボの楽園」で開くハッチョウトンボ観察会で長さ3センチのとんぼのがん具が販売される。
宮島代表は「趣旨を理解し、とんぼを買ってくれる」と反響の大きさに驚き「いろんな人の協力で成り立っている。会員を増やしながら、活動を継続させていきたい」と話した。
問い合わせは、市内のアジアンカフェ&雑貨「カフェ・ドゥドゥ」内事務局(TEL78・5650)へ。