花ろまん41
梅雨の花、アジサイ
お寺に良く似合う
梅雨の花、アジサイ。咲き始めは緑を帯びた白、後に淡紅色、淡青色、やがて濃青紫色に変わり、「七変化」の別名を持つ。青い花が集まり手まり状に咲く風情から「集真藍(あづさあい)」から転じたとも。大伴家持が「言問わぬ木すら味狭藍(あじさい)」と詠んだ万葉の花。白楽天の詩から「紫陽花」と名付けられ、日本固有の植物でドイツ医師、シーボルトがヨーロッパに移入し、改良され、「西洋アジサイ(ハンドランジア」として逆輸入された花。雨に濡れて古刹に咲く日本アジサイには格別の風情がある。今回は「あじさいまつり」でにぎわう伊那市西春近の深妙寺(重盛快典住職)と、アジサイの小道に数百株が競って咲く駒ケ根高原の光前寺(吉沢道人住職)を取材したほか、近年、人気の山アジサイ(日本アジサイ)を紹介する(大口国江)
◇寺の雰囲気に合い、花の色の変化が魅力な日本的な花
伊那市西春近の深妙寺
「あじさい寺」の異名を持つ伊那市西春近の深妙寺(重盛快典住職)では200種2000株余のアジサイが咲いている。白から淡青色、紅、青紫色と色とりどりの花色が、訪れた人々の目を楽しませている。
同寺は25年ほど前、重盛住職の母、故・登美子さんが挿し木で増やし、境内に植えたのがきっかけ。その後、重盛住職も引き続き、珍しい苗木を購入したり、挿し木で増やし、広い境内を花で埋め尽した。
花の種類は額アジサイや山アジサイなど日本アジサイを中心に、花が大きく豪華な西洋アジサイ(ハイドランジア)、柏葉アジサイ、ノリウツギなど多彩。
祭り期間中(縲・月10日)は無料の茶菓の接待、くずもち(有料)もある。4縲・日は午後7時から9時まで夜間照明もする。
重盛住職は「アジサイの雨に濡れたしっとりとした風情が寺のたたずまいに合い、心が和む。花の色の変化も魅力」と話す。
◇重盛住職のワンポイントアドバイス「挿し木と管理」
アジサイの繁殖方法は梅雨時の緑枝挿しが一般的だが、冬の凍み上がりでだめになってしまう。3月頃の休眠挿しの方が成功率が高い。
花後は花の下から2節目で切ると、来年も開花する。
花の色はアルカリ性土壌では赤く、酸性土壌では青くなると言われるが、遺伝子が異なり、肥料で赤花を青に、青花を赤くすることは難しい。
##(写真)
(1)「(2)(3)青色のガクアジサイが数10本咲く園内
◇花の少ない梅雨の季節に咲く日本情緒豊かな花
光前寺吉沢道人住職
駒ケ根市の古刹光前寺では約20種類、400株のアジサイが境内を彩っている。
山アジサイ系(ガクアジサイ)が中心で、がく(装飾花)が白からピンクに変わる「紅がく」「清澄沢」。真紅になる「紅」。がくが濃紫の「黒姫」など多彩。
日当たりのよい駐車場前に植えられた「紅がく」は今が見ごろ、辺りをピンクに染めている。
また、鐘楼の周辺には数百株のアジサイを植え、あじさいの小道を作っている。
吉沢道人住職は「アジサイは桜の木の下でもよく咲いてくれる。寺の雰囲気に合うガクアジサイを中心に集め、挿し木で増やしている」と話す。
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