南ア食害対策シンポ
南アルプス地域で拡大しているニホンジカの食害に歯止めをかけようと伊那市、飯田市、富士見町、大鹿村と地方事務所、南信森林管理署などが集まって07年9月に設立された「南アルプス食害対策協議会」(会長・小坂樫男伊那市長)は26日「南アルプス食害対策シンポジウム できることから始めよう! 南アルプスの貴重な高山植物保護に向けて」を南箕輪村の信州大農学部で開いた。一般、学生など約200人が集まり、専門家による講演を聴くなどして、シカの食害への理解を深めた。
講演は元千葉県立博物館副館長・大場達之さんの「植生から見た赤石山系の特質」、信州大名誉教授・土田勝義さんの「高山植生の復元と高山植物の保全」、信州大農学部准教授・泉山茂之さんの「南アルプスを越えるシカ」。いずれも研究に裏打ちされた説得力のある内容で、集まった聴衆は熱心に話に耳を傾けていた。
同協議会によると、増え過ぎたシカによる食害などの被害は県内でも数年前から急速に拡大し、仙丈ケ岳の馬の背付近の花畑でもシナノキンバイなどの高山植物が食べられる被害に遭っているという。被害防止のため、8月7縲・日の3日間、シカ防護柵を南アルプス仙丈ケ岳の標高2600縲・700メートル付近の馬の背周辺に初めて設置する。作業は一般から募ったボランティア延べ約100人(予定)の力を借りる。