伊那毎日新聞休刊へ
半世紀の歴史に幕
伊那毎日新聞は31日付の発刊をもって休刊する。1955(昭和30)年2月の創刊から53年余。地域とともに歩んだ半世紀の歴史に幕を下ろす。
伊那毎日新聞は、伊那市本町で産声を上げ、以来社屋を伊那市西町区、南箕輪村と移転。1999年に現在地の伊那市室町に移ってからは、紙面のカラー化などを図るとともに、内容の充実に積極的に取り組んできた。
01年には、「地元の課題は世界にも共通する課題」を合言葉に、公共事業や教育、環境などの問題を通じて「真の豊かさ」について考えてみよう竏窒ニ、伊那毎日新聞社製作のケーブルテレビ番組「いなまいニューススタジオ」がスタート。紙面と映像が連携する新しいスタイルで、公共事業の決定プロセスの不透明性や矛盾などを指摘した。
02年には、県会でのダム論議を背景に「いなまいテーブル」を作成。ダム問題を「財政」「環境」「生活」「産業」「景観」「決定プロセス」など多面的視点で検証する“判断の枠組み”を提供した。「いなまいテーブル」のパンフレットは上下伊那のほぼ全戸に配布。いま問題にされている戸草ダム建設計画中止を議論する際に十分応用できる。
03年から05年にかけては「上伊那・輝く経営者キャンペーン」を展開。産学官でつくるキャンペーン推進委員会の事務局を伊那毎日新聞社が務め、上伊那で輝いている中小企業経営者約100人を紙面、映像、単行本で紹介した。さらに、05年からは、戦後の上伊那経済を牽引してきた大手企業の優れた経営者・創業者を上伊那の「産業史」「経営史」として後世に残す企画も展開している。
読者参加でつくる各種カラー企画や人物紹介も好評で、郷土愛醸成につながる、との声も多かった。
最近では広域ごみ処理施設建設計画の詳細な報道などが住民の関心を集め、伊那毎の記事が注目されている中での残念な休刊となってしまった。