経営者協会と8市町村長が初の懇談会
地域活性化に向け議論の第一歩
長野県経営者協会上伊那支部(支部長=塚越寛伊那食品工業会長、以下「経協」)は11日、上伊那8市町村の首長との「地域活性化懇談会」を伊那市の駅前ビル「いなっせ」で開いた。「地域活性化に関わる問題を、経営者・行政の相互の立場から、忌憚なく意見交換することを目指した」(塚越支部長)もので、今回が初の試み。長野県内に10ある経協の支部の中でも、地域の市町村長と経協の役員が勢ぞろいするのは初めて。
意見交換は、報道・一般市民には非公開で行なわれたが、大きく、(1)「人材の育成と確保」、(2)「自然環境の更なる引き上げ」、(3)「住環境の更なる整備」、(4)「産業活動に関わるインフラ整備」、(5)「産・官の情報ネットワークの整備」竏窒フ5つの視点から、様々な意見が出されたという。
経協はアンケートをもとにテーマ設定
この5つの視点は、同協会の活動内容の刷新を図る構造改革特別委員会(委員長=鷹野準タカノ社長)が、2007年度に会員企業50社を対象に行なった地域活性化の必要性と課題に関するアンケートの結果をもとに設定されたもの。
特に、「人材の育成と確保」では、産業立地は高いが一方で人材難である上伊那の実情を踏まえて、経協側から、管内で2800人の生徒の職場体験を受け入れたり、独自の出前講座を行なったりしてきた取組みが紹介され、若者の職業観涵養に産・学・官共同で取り組むことの重要性が指摘された。
また、「住環境の整備」では、医師不足などの問題が浮かび上がってきている病院問題も話題にのぼり、行政側から、医師増・病院経営改善などに向けての困難さが紹介された。
「産業活動のインフラ整備」では、木曽地域に見られるような観光看板の整備や、広域観光の有効な施策の立案と実施など、主に観光面での話題が多かった。その他、行政からの情報発信に、企業の社内・社外のネットワークを有効に活用するべきとする提案などもなされたという。
経協上伊那支部では、「今回の懇談会は議論の第一歩で、今後、継続して行なうことが重要。その点については、産・官ともに同じ立場に立てたことが今日の成果」(構造改革特別委員=菅沼孝彦タカノ常勤顧問)としている。
地域の活性化のために、経営者協会に加盟する上伊那の主要企業と市町村が、今後、どのように継続的に議論を重ね、具体策練り上げて行くかが期待される。
経営者協会の参加者は上伊那支部長=伊那食品工業塚越寛会長、副支部長=藤澤秀敬伊那バス社長、向山孝一KOA社長、山浦速夫ヤマウラ社長、鷹野準タカノ社長、大澤一郎アルプス中央信用金庫理事長、大庭晃夫ルビコン社長室長、増本雄治IHI回転機械生産本部長、冨田有一日本通運伊那支店長ら。
市町村側は、小坂樫男伊那市長、清水亀千代駒ケ根副市長、赤羽八州男辰野副町長、永岡文武箕輪副町長、高坂宗昭飯島町長、加藤久樹南箕輪副村長、曽我逸郎中川村長、清水靖夫宮田村長ら。