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製造業社員を講師に子ども科学教室、次代につなぐものづくり

製造業社員を講師に子ども科学教室、次代につなぐものづくり

 上伊那の製造業10社の若手社員らが講師となり小学生にものづくりの楽しさを伝える「上伊那子ども科学教室」が29日、駒ヶ根市の駅前ビルアルパで開かれた。県テクノ財団伊那テクノバレー地域センターの主催で、60人の児童が参加。赤外線センサーで障害物を探知してモーターで動く「すもうロボット」を工作した。理科やものづくり離れが叫ばれる現代の子どもたちに、体験する機会をと昨年度から始めた試みだが、テレビゲーム世代の若い社員がものづくりを基礎から学ぶ原点回帰の要素も含まれている。入社数年の技術者は子どもたちを教えながら、一緒になって確かめるようにロボットを組み立てた。
 産業用ロボットや工作機械用の空気圧機器を製造するコガネイ(駒ヶ根市飯坂)は、入社1、2年の社員3人を講師として参加させた。同社生産技術グループリーダーで同教室実行委員会の座長をつとめる伊藤定義さん(43)は「技術系でも今の若い社員は机上で学んできただけで、実際に入社するまではものづくりを体験してこない人が多い。子どもの頃にプラモデルを作ったとかいう経験が乏しいんです」と説明する。
 今回で4回目を迎える同教室。子どもたちのものづくりにふれる機会を増やし将来的な地域の技術力継承に役立てるのがねらいだが「色々な体験が乏しい若手技術者の知識向上にも役に立つ」と伊藤さんは続けた。
 表面処理のサン工業(伊那市西箕輪)も若い社員が中心になり参加した。入社2年目の重松宏明さん(24)は汗だくになりながらも、熱心に子どもたちを指導。「一人ひとりペースが違うので教えるのが大変。これから会社で後輩を教える立場になったとき、『これは分かるんじゃない』とか先入観を持って教えないように心がけたいですね」と話した。
 赤穂小学校5年の澤田紘希君は「難しいけど、動く仕組みとかが分かっておもしろい」と製作に夢中。ネジを回したり、ニッパーで切ったり。子どもたちと若い技術者は心をひとつにして工作に励んでいた。

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