伊那ケーブルテレビ12月1ch座談会は「産学官連携による人材育成」テーマに
6日午後2時から毎週末放送
伊那ケーブルテレビの自主放送番組1ch座談会の12月放映号は「産学官連携での人材育成」をテーマに収録した。ハローワーク伊那(伊那公共職業安定所)の野口博文所長、箕輪進修高校の荒井和人校長、伊那市教育委員会の北原明教育長がゲスト。地域産業経済誌ゴーシュの毛賀沢明宏編集長が司会を務め、厳しい経済雇用情勢の中で働く意義、素晴らしさをどう次代につなげていくか現状の取り組みを交えて意見を交わした。6日午後2時を皮切りに、12月の毎週土、日に放送する。
若者が定着できる職場環境を
ニートと呼ばれる非正規雇用や離職率の高さなど若者の仕事に対する意識のあり方を中心に議論した。野口所長は「全国的に高校新卒者の離職率は入社3年間で5割に達する。企業経済団体と連携し、就職をする時点でしっかりと継続して働ける環境を整えていくことが大切」と指摘。
上伊那管内では高校生を対象にした企業のバス見学を実施し、就職希望者のほぼ全員が参加するなど、就職する際に役立てていると紹介した。
「企業は入社した若者に対して『再教育』の始まりという視点で人材を育成してほしい。人間関係で悩み退職する人も多い。相談体制などコミュニケーションも重要で、若者が定着できる環境を整えて」とも言及。
技能を財産と考えてただ働くだけでなくスキルアップを目指す意識の醸成も大切と話し、「企業が1日でもいいから研修の期間を増やせるようにしてほしい」とも続けた。
働く目的意識の醸成を
荒井校長は、同校における就職希望者の9割は上伊那で就職していると話し「地元製造業の元気さが求人にもつながっている」と説明。
全学年で就業体験を実施し、3年生を対象に授業のひとつとしてインターンシップも導入していると紹介した。今年度は19社が賛同し、一週間に1度は生徒が希望の企業で現場体験を行っているとも話し「ニート、フリーターなど問題化しているが、生徒に働くんだという意識を教えている。仕事がどういうものか理解してもらい、目的意識の醸成につなげている」と続けた。
「ものづくりは仕事の原点」という考え方から、普通科の生徒も工業系の授業を受けられるようにカリキュラムを編成しているとも。「色々な体験をすることによって仕事とは何かという基礎づくりを行っている」と語ったうえで、製造業以外を希望する生徒たちの就業体験の場を確保拡大することが今後の課題と挙げた。
働くことこそが生きがい
「ものづくりは日本の素晴らしい伝統であり、働く根幹。進学して先端技術を学んできた若者に上伊那の地に戻ってきてもらい、技術を継承発展させていくことが大切」と北原教育長。契約社員などでしか就職ができない若者が多い現状も憂うなかで、子どもたちに「生きがいを持って働く」という意義を教えていくことが重要と指摘した。
総合学習で働く人の姿を学んだり、自ら農業体験するなど小、中学校でもキャリア教育に力を入れていると説明。「働くことこそが生きがいであり、そういう生き方を求めていくことを強調したい」とも。
国の施策と企業が連動して若者らに技能教育を実施する必要性も示し「アルバイトや契約社員が多い中で、専門的な力を身につけさせることをしていかなければ」と続けた。
さらに「企業には若者の夢を受け入れてくれる魅力的な職場づくりを」とも要望。若者に対しては「生きがいを持って働くということを見出すのは難しいことかもしれない。しかし、青春時代を費やしてでも探し求めてほしい」とエールを送った。