【カメラリポート】2006年7月豪雨災害から2年半
架け替えの新殿島橋完成間近
2006(平成18)年7月豪雨により橋が傾いた伊那市の殿島橋。2年半に及ぶ架け替え工事で、新殿島橋がその姿を現している。
新殿島橋は延長232メートル、幅4メートル。自転車、歩行者専用の橋として架け替え工事が進められており、今年3月から利用が可能になる。
事業費は約7億円で、東春近側は旧殿島橋と同じ地点、西春近側は旧殿島橋より40メートルほど上流の地点を結ぶ。
地域の人々と歴史を刻んできた殿島橋
この完成間近の橋を見つめるのは、伊那市西春近沢渡の飯島三三さん(79)。
飯島さんは、今から55年前の1954(昭和29)年から、殿島橋のたもとで暮らしている。
旧殿島橋やその周辺で撮った息子の写真などを大切に保管していて、昭和30年代の写真には、馬車が橋の上を通る光景など当時の様子が写し出されている。
橋のたもとに住む飯島さんとその家族にとって、殿島橋や近くの河原は遊び場であり、憩いの場だった。
安全のためとはいえ、思い出が残る橋を壊されることは残念だったと飯島さんは言う。
「昔は当然、馬車だとかトラックが走っていた。さみしい気はしますね」
豪雨災害で橋が…
この橋を架け替えるきっかけとなった2006(平成18)年7月豪雨による天竜川の氾濫。
この時、伊那地域の連続雨量は340ミリとなり、平成18年の全降水量の5分の1が、この豪雨で観測された。
殿島橋は、大雨で増水したことにより橋の下の川底が掘られて傾いた。
新殿島橋 3月から利用開始
架け替え工事が始まってから2年半が過ぎ、その姿を現した新殿島橋。
古い橋が壊される時は複雑な心境だった飯島さんも、今は新しい橋の完成を待ち望んでいる。
それは、ここに住む地域の人たちの願いでもある。
「橋の上から天竜川を眺めるのは、いい快感を覚えます。地元としては、完成は喜ばしいことだと思いますね」
今年3月から利用が始まる新殿島橋。
飯島さんは、その完成により、現在春近大橋を渡って通学している春富中学校の生徒の安全が確保できることもうれしいことだ-と話している。