ハチ学者、英国BBC取材クルーなど
秋の味覚、ハチを味わう
地蜂(じばち)愛好家としても知られる小坂樫男伊那市長らが呼びかけた「秋の味覚を味わう会」が24日、伊那市の内の萱公民館であった。市関係者・地蜂愛好会有志・地元住民のほか、長谷村でスズメバチの生態にかかわる番組を撮影中の英国BBCの取材クルー、同クルーに同行しているハチが専門の玉川大学の小野正人教授、地蜂取りを描いた映画「こむぎいろの天使」の後藤俊夫監督など、総勢40人がハチなどの伊那谷の秋の味覚を楽しんだ。伊東義人高遠町長も参加した。
テーブルには大スズメバチ・地蜂の空揚げと甘露煮、アマゴの塩焼きやシカ肉の燻製、猪と名古屋コーチンの汁など珍味がずらり。愛好家が取り立ての巣から大スズメバチの幼虫を引き出すのを見て。「あれ食べるのか?」と驚いていた人も、小野教授のハチの解説などを聞きながら、「案外うまいね」と口に運んでいた。
BBCの取材クルーは、伊那市で養蜂園を営む小松実治さんが長谷村に持つ山小屋を拠点に、スズメバチの生態に関する番組を収録中。スタッフのヴェルティ・ホワイトさんは、初めての大スズメバチに恐る恐るはしを運んでいたが、思い切って口に入れてからは「ベリー、デリシャス」を連発していた。
愛好家の話によれば、上伊那ではほぼ17年前から秋にキイロスズメバチの巣をとっても、幼虫がほとんどいない状況が続いている。働き蜂が幼虫を巣の外に捨ててしまうらしい。小野教授は「原因は現在研究中で確定していない」とした上で、「エサ不足への対応と内的要因と、昆虫だけに効く農薬の影響という外的要因の複合の結果」という仮説を立てているという。