小松総合印刷に大手インキメーカー中国現地法人の技術者が学ぶ
印刷インキ大手DIC(東京)の中国現地法人で色あせに強いUVインキの技術サービスを担当する謝慧明さんが2日、UVをはじめとした高度な印刷技術に加え、コインでこするスクラッチや情報を保護する圧着印刷などのツールを組み合わせて販促支援を展開する伊那市横山の小松総合印刷を訪れた。先進的な日本の特殊印刷技術を学びたいと、謝さんたっての希望で実現したもの。伊那谷発の印刷、販促支援事業は近年、業界内外で高い評価を受けており、小松肇彦社長は「海外からも関心を寄せてもらえるということは、我々がやってきたことが確実に実を結び始めている現れ」と手ごたえを話す。
紙の表面に凹凸をつけたエンボス加工や、削りかすの出ないスクラッチ、ハガキを折り込み個人情報を保護する圧着印刷のダイレクトメール(DM)。多彩な小松総合印刷の製品に、謝さんは「このような印刷は中国ではほとんど見ません。やればすごく注目を集めそう」と目を輝かした。
彼女の来日の目的はDIC本社工場での研修だったが、来日前から高精細なUV印刷を手がける小松総合印刷に高い関心があり、忙しい日程を調整して伊那までわざわざ足を運んだ。
小松社長の案内で工場内を熱心に見学。印刷するだけでなくインターネットなどとも連動し、マーケティング理論に裏打ちされた段階を追った製品、サービスを提供していることにもふれ「本当によく研究している」と驚きの声もあげた。
小松総合印刷は数年前から生き残りをかけて単なる印刷業からの脱却を目指し、「他にはないもの」を追求。独自性を持って高付加価値路線を歩むが、その製品力の原点ともいうべき印刷技術は、大手印刷機メーカーやインクメーカーが同社に製品カタログの印刷を注文するほどの実力を持つ。謝さんに同行したDIC信越営業部の伊藤信次所長も「高度な特殊印刷において小松総合印刷さんに関する問い合わせがたびたびある」と話す。
小松社長は関心を寄せた業者の視察受け入れにも積極的。「無名の印刷屋だった我々だが、その製品が認められ始めている。今後もより製品を知ってもらい、普及していくことが大切」と、さらなる事業の広がりに前を見据える。同社は4日から東京・池袋で始まる印刷・メディア業界の展示会「PAGE2009」にも出展する。