【カメラリポート】伝統のだるま市
400年前から開かれている伊那市高遠町のだるま市は11日、西高遠の鉾寺神社参道を中心に行われる。
このだるま市は毎年、鉾持神社の祈願祭に合わせて2月11日の祭日に行われている。
鉾持神社の祈願祭は、1年間の暴風雨や日照りもなく、農作物が豊作であるように祈る祭りで、昔は稲や豆など農作物の種の交換や売買もしていたことから、初市とも呼ばれていた。
高遠町の歴史に詳しい矢澤章一さん(高遠町在住)によると、昔は14日市として開かれていたという。
「2月14日というと昔は猛烈に寒かった。零下何十度になるくらいにね。子どものころは市が楽しみで、夜11時ころに出て行ってお参りして。真っ暗よ。帰りにだるまを買って、うどんを食べて、朝5時ころに帰ってきたかな」
当時は、だるまの数も、店の数も多く、ぎっしりと軒を連ねていたという。
店々を見て歩き、「お前んとこは高いから、こっちで買うっていうように値切って買ったんだよ」
もう一つ、だるま市を楽しませているのが人形飾り。
人形飾りは1700年頃から始まったとされていて、高遠町の各地区で制作している。
この人形飾り、当時は家の2階部分に飾っていた。
「今みたいに道が広くないから、狭い道のところでやるとなると立体的に使わないと、ということで屋根の上に飾りものをした。上を向いても見られるし、そういうことだったんだろうね」
矢澤さんは、人をかき分け、屋根の上の人形飾りを眺めたことをよく覚えているという。
今年も、だるま市が開かれる。
「やはりね、だるま市で買うだるまが一番役得があるんじゃないかな。そんな気がする」