ブラジル学校危機迫る
経済不況のあおりを受けて、在日外国人の雇用情勢が悪化しており、ブラジル学校に通うこどもたちにも影響が出ている。
伊那市西春近にあるブラジル学校コレージョ デザフィーオ。5年前から小学校を始めた。現在は0歳から18歳までを受け入れることが出来る。
世界的な経済危機の影響が色濃く出始める去年の冬までは、最大で90人近い生徒がいた。
それが、現在は30人に激減している。
これは、派遣社員として働いていたブラジル人が解雇されたことが原因になっている。
学校を辞めた子ども50人のうち30人は、日本にとどまっていて、学校に通っていない状態だという。
19日、こうした現状を見てもらい関心を持ってもらおうと、伊那市議会議員の2人が学校に招かれた。
2人は、飯島校長の案内を受けて、校内を見学して歩いた。
この市議会議員の見学会を企画したのは、大阪のNPO法人コリアNGOセンター。このNPOでは、政府などにも申し入れを行っているが、地域で支えあう関係作りが大切竏窒ニ、市議会の訪問を企画した。
ブラジル学校では、母国に帰る子どもが不自由しないように、ブラジルの文部省が認定している授業を行っている。
日本にとどまることを選んだ子どもにも自分の夢を叶えられるようにと、週に3回、日本語の授業を取り入れていて、この日は生徒らが習字に挑戦していた。
視察では、空いた部屋が目立った。
0歳から受け入れていた部屋は、現在は使われていない。未就園児は手がかかり、母親は、最も解雇の対象に成りやすいためだという。
また、以前は常勤で7人、非常勤で8人いた指導者も、現在は常勤3人に減らしている。
見学後の懇談では、「問題が発生したときに、市役所の窓口では対応できないと帰された。では、どこの誰に相談すればよいのですか」といった切実な相談や、「伊那市の施設を安く借りることはできないか」などの具体的な話も出ていた。
現在学校に通っている30人の子どものうち10人の親が、すでに解雇されている。
月々3万3千円の月謝が支払えなければ、また10人の子どもが学校に通えなくなる。
飯島校長は、「日本全体が不況の中だが、この大きなピンチを乗り越えていくために力を貸してほしい」と話している。