鎌田實さんが伊那中央病院で講演
医師と患者、患者と家族などの絆をつづったエッセイ『がんばらない』の著者で、諏訪中央病院の名誉院長を務める鎌田實さんの講演会が14日夜、伊那市の伊那中央病院であった。
講演会は中央病院の看護師などでつくる「山脈会」が、看護週間に合わせて企画したもので、患者やその家族など約150人が集まった。
鎌田さんは、病気と闘いながら最後まで前向きに生きようとする老夫婦のエピソードを紹介し「みんなかけがえのない命を生きている。いつかは死ぬとしても、最後までその人らしく生きる権利がある」と話した。
また、チェルノブイリの放射能汚染に苦しむ人たちの救援活動に取り組んでいるベラルーシ共和国でのエピソードも紹介。日本人の看護師たちが、放射能汚染で白血病になった少年のためにマイナス20度の街中で、少年が食べたがったパイナップルを探し回った話を紹介した。
少年の命は助からなかったが、周りの温かな支えの中、懸命に生きたことを話し「温かな支えがあれば、『かんばろう』と思える。一生懸命生きて、温かい時間を過ごすと、『生きていて良かった』と思う」と語った。