箕輪町
木下みこし会
「理由なんかない。みこしがあるから担ぐ」
「ソイヤ、ソイヤ」
威勢のいい掛け声と共に、箕輪町木下区内をみこしが練り歩いた南宮神社の例大祭。木下みこし会の担ぐみこしを楽しみにしている区民らが沿道に詰めかけた。
11年前、みのわ祭りでみこしを担ぐため箕輪町商工会南部支会が手作りしたみこし。鳳や鈴、金具などは購入したが、仲間の大工2人がみこし本体を、ニット屋が飾りひもを編み、板金屋が鶴の模様など飾りの銅版を打ち出し加工した。
みこしは木下区に寄付採納され、みこしの好きな有志が集まりみこし会を結成。今年で10年目を迎えた。現在、会員は16歳から80歳代までのみこし好き80人。女性も10人ほどいる。
みこし会の兄貴分は飯田の元島田。掛け声は「わっしょい、わっしょい」ではなく、浅草三社まつりの「ソイヤ、ソイヤ」で、担ぐときの足の運びから教わった。
7月の南宮神社例大祭、みのわ祭り、9月の飯田の八幡様の祭りの年3回担ぐ。みのわ祭りには兄貴分の元島田から14、15人が応援に駆け付ける。そのお礼に八幡様の応援に行く。
200キロ余もの重さがあるみこし。さお4本を50人で担ぐ。「ぴたっと息が合うと、うんと軽い。でも息が合わないと1人で担いでいるみたいに重くなる」と清水政治会長。みこしを担ぐときは、渡御師、副渡御師が指揮をとり、早く進みすぎないように、まっすぐ進むように統制する。
祭りの季節、夏が近付くと、「担ぎたくてうずうずしてくる」。今年は南宮神社例大祭の1週間前から準備してムードを盛り上げてきたが、三社まつりなどのビデオを見ていると、自然に足が動いてくる。「祭りばかよ。何が楽しいでなく、その雰囲気が楽しい。みこしを担ぐことで一つの輪もできる」
重ければ重いほどいいというみこし。重いものを担ぐと人は下を向くものだが、みこしはその反対。「反発してカッと上を向いて担ぐ。それがいい」とも。ギャラリーが多ければ一層燃え上がり、「その場で30分だって担いでる」。
10年間、規律を守り一本筋の通った会を目指してやってきた。祭りのない季節も、キノコ採りやマレットゴルフなどで仲間づくりをする。み(3)こ(5)し(4)のゴロ合わせで、数字を足した12を“みこしの日”と決め毎月12日は、消防団の旧屯所を借りた「みこし会館」で会合や掃除もしている。
「夏は“動”のみこし、冬は“静”のみこし。新年の初祭りで止まっているみこしをじっくり見てもらうのもいいのでは」と、新たな試みも考えている。
みのわ祭りは今月30日。初めて昼間に担ぐ。担ぎ手が集まるか、興奮状態になるため炎天下での体調管理など心配はあるというが、「このみこしを見ないとみのわ祭りが終わらないと言ってくれる人、待ってくれてる人がいるのがうれしい」と、粋(いき)なみこしで行列の取りを飾る。