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2211/(金)

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第5回
地域の力で発信! 宮田村のものづくり【下】

--諏訪圏工業メッセに参加する宮田村商工会工業部会に聞く--
【出席者】
■増田清さん(株)マスダ社長/1962年創設。従業員120人/宮田村商工会副会長 ■奥田憲一さん(株)パブリックレコード社長/1974年創設。従業員40人/宮田村商工会工業部会長 ■原田和愛さん(株)テーケー社長/1989年、(株)ミヤタから自動車部門が独立して創設。従業員75人
■清水光吉さん (株)宮田アルマイト社長/1967年創設従業員45人。前社長は清水靖夫現宮田村長
■司会 毛賀沢明宏

第5回<br>地域の力で発信! 宮田村のものづくり【下】

 13日からの諏訪圏工業メッセに出展する宮田村のものづくり企業4社に、地域ぐるみの製造業活性化の課題と展望を話し合ってもらった。その後編。

宮田村商工会の結束の強さの秘密は?

第5回<br>地域の力で発信! 宮田村のものづくり【下】

司会 諏訪圏工業メッセに出展する各企業の目的などについて話していただきましたが、宮田村商工会の場合には、工業部会としてのまとまりが強いように感じます。東京の機械要素展にも取材に行きましたが、宮田村の展示用ブースは、たいへん手が混んだものでしたよね。そうした結束の強さはどんなところから生まれてきているのですか?
原田 宮田村の環境が大きいよ。こんな小さな村なのに工業部会に78社が加盟しているように、宮田村は工業が廃れたら村がつぶれちゃう。だから企業も商工会も頑張るし、村もバックアップアする。
増田 あと、メーカーが少なくて、皆、下請けだってことも、力を合わせる原因だよね。メーカーだったらその企業単独で出るよ。どこも下請けで、置かれている条件が似ている。それで力をあわせやすい。
清水 そうですね。村の結束は強いですよね。メッセとか企業展とか重要だということは分かっていても、やはり1社だけで出るのは大変です。まとまって出ればお互いいろいろと都合もつけられるし、心強いです。
原田 でも、やっぱり、メッセとかに出ようとうのは意欲のある企業で、温度差があるよ。それはそれで仕方ないことで、意欲のあるところが引っ張る形で、全体が活性化していけばいいんだ。
奥田 そうですよね。宮田村の場合には、ニッパツ関係でバネ、タカノ関係でパイプ、それに昔あった宮田オリンパス関係で精密-というようにいろいろなジャンルの下請けがある。そのいろいろなジャンルで意欲ある企業が頑張れば、村の中での新しいコラボレーションも始まっていくと思います。工業部会としてメッセにまとまって出ようとしているのはそういう意図もあるんですよ。
増田 俺はさ、そういう村の中の連携というのがこれからはうんと重要になると思うんだ。例えばタカノさんとかニッパツさんとか、下請けにいろいろ仕事を出しているけど、村の中の企業に出しているのは割合から言えば少ない。わざわざ遠いところに出している。でも、村の部品加工が力を合わせていろいろなことができるようになれば、もっと村内に出してくれる仕事も増えると思うんだよね。ニッパツ関係の仕事が多いテーケーの仕事を取ろうって言うのではなくて(笑)、もっとどんどん出してくれって、そういう環境を下請けの方で作らないとダメだっていうことなんだ。
原田 俺もそう思うよ。メッセとか企業展とかに出るために集まって話していると、おい、あの会社はこんな技術があるのかいって気がつくことが多いんだ。そうすると、どっちが元請けになるかとかいう問題はあるけど、とにかく、協力すれば、いろいろな付加価値のある加工ができるようになる。ワイヤーカットなら野溝製作所に頼め、表面処理なら宮田アルマイトだ、それでウチにしかできないことはウチでやるーとかというように。それでトータルですごく良い部品が作れるようになる。
清水 ある村内のメーカーさんが諏訪の会社に仕事を出したけど、結局そこではやれないということで、ウチでかわりにやったことがあるんです。後でそのメーカーさんと話した時に、「なんだ、あれお宅でやったのか」って驚かれたんですけど、そういう迂回ルートをたどらず直接仕事ができるようになれば、メーカーにも下請けにも、そして村にとっても、良いことですよね。
奥田 結局、それぞれの企業がナンバーワンでなくてもオンリーワンの企業になる。それが村としてまとまって仕事をする。そんな構図を作っていくことが重要だと思うんです。

ただのお祭りのような催し物は意味がない

第5回<br>地域の力で発信! 宮田村のものづくり【下】

司会 少し話は変わりますが、今まで工業部会としていろいろなメッセや企業展に出展されてきて、あそこは良かったとか、こっちはダメだったとか、いろいろあったのではないですか?
奥田 諏訪圏工業メッセは今回が初めて。何しろ地理的に近いし、新しい展開が望めそうだと期待しています。6月の東京お台場の全国機械要素店は今年で4回目でしたが、それ以前には中小企業庁が主催するテクノフェアという催しに長い間参加していたんです。でも、それは、だんだん地域の物産展というか、食べ物とかお土産とかも並ぶお祭りのようになってしまった。これでは技術的な刺激も無いし、商談もこないし、意味がないということで切り替えてきたんです。
増田 やっぱりね、意欲のある企業が自分の所の自慢できる技術や製品を持ち寄って、メーカーやいろいろなお客さんをたくさん呼んで、商談化する-そういう催しでないと意味がないよ。
原田 中小企業庁の予算とか補助金とかをつけるためにやっているような催し物ではだめだよな。「ものづくり」のエッセンスが集まるようなものでなければ、出てもしょうがないし、見て回っても面白くないよ。
増田 お台場のビッグサイトでやった機械要素展は、会場も広くて立派だし、お客も多くて良かった。ウチは企業単独でもいろいろなところに出ているけど、会場の設備は良いのに越したことはないけど、むしろ、ちゃんと招待状をいろいろなところに出しているかとか、出展企業にもその招待状をたくさん渡して、お互いにお客さんを呼ぶように働きかけてくれる展示会は良いよね。出展する甲斐がある。あと、商工会工業部会として参加しても、企業名までちゃんと細かく一覧表に紹介してくれるようにして欲しいよね。今回の諏訪メッセはその点で、少し残念なところがある。
清水 メッセとか展示会そのものの方の問題ではないんですが、やはり、3日間とか出展するとなると、そこに行っていないとだめじゃないですか。ブースにいて説明したり、商談に応じたりしなければ出展する意味がない。でも、3日間とか会社を開けるのは中小企業にとっては、けっこう大変なことなんですよ。共同で出展しているとそういうところは融通が利くので少し楽になりますよね。
原田 お祭りみたいな物産展の時にはさ、マスダのブースにきた人に俺が説明したりさ、その逆も、なんてやっていたけど、実質的に意味のあるメッセに行く時はそうはいかないよな。その会社の特色ある技術を説明しなくちゃならないし、商談もできなくちゃいけない。俺にはマスダの見積もりはできないもんな(笑)。そういう意味では少し厳しいけれど、それはやる気と技術のある会社が集まっているってことで、意義のあることだと思うよね。

自社の強み・弱みを知り、地域で協力を

第5回<br>地域の力で発信! 宮田村のものづくり【下】

司会 皆さん、独自の技術を磨き、意欲的にメッセに出展するなど、地域のものづくりの未来を切り開くために努力されていますが、地域の製造業にとって、今一番求められているものは何か?を最後にお願いします。
原田 やっぱりQ・C・D。つまり、品質・コスト・納期の向上に尽きるよ。地方の製造業でも、中国や東南アジアに比べて、品質や納期では勝っている点が多い。でも、今は、コストでも勝っていなければ注文はこない。自動車関連の仕事は1回決まれば、比較的長い間仕事があるわけだけれど、契約する時には日本一安い値段、中国・東南アジアに負けない安さでなければ仕事が取れない。それで契約すると、日本一安い値段でずっと仕事することになるわけだ。それでもやれるような生産体制を築くことが、問われているよね。
増田 それは、地方だけじゃなくて日本全体同じだよ。精密でも、例えば親会社から単価30%引きにしなければ海外に注文するというような話が突然来る。それが下請け企業だよ。そう言われて、なんで台湾では、日本に比べてコスト30%引きでできるのかを調査してみたんだ。機械設備や材料費は少し安いといってもそれほど大きな差はない。人件費は日本の半分と言われているけど、それだけで30%引きにはできないよ。結局、秘密は、設備投資しても、機械の原価償却費を価格に上乗せしていないからだと分かった。それで、ウチでは、台湾製と同等、いやそれ以上の質の部品を、既に減価償却が終わった機械を使ってつくろうというようなこともやっているんだ。そういう技術が日本にはあるんだよ。そういう力を生かして、自社にしかできないものをつくることが結局最大の問題だろうね。
清水 コスト面での努力も重要だとは思うんですが、自分がお客さんの立場だったら、ただ安ければ良いとは思わないと思うんです。やはり品質の高さ・納期の問題との統一で考える。そういうことを考えると、新しい技術を研究しながら他社にはできないことをやっていくということが重要だと思いますね。
奥田 今言われてきたことは、結局、オンリーワンが求められていると言うことにつきると思います。高品質のものを作る特殊な技術もオンリーワンだが、低コストで製造できる技術だってオンリーワンだ。お客さんが何を求めているかを見極めて、それにふさわしいオンリーワンを提示できる企業は今後は生き延びて行くと思います。でも、地方の企業の場合、何がオンリーワンなのか、もしくは、オンリーワンになりうるものなのかーそれが自分自身でも分かっていないということが多い。共同でメッセに参加することなどを通じて、そういう視点からお互いに切磋琢磨できれば良いなと思っています。是非、皆さん諏訪メッセに足を運んでくださいね。
司会 ありがとうございました。

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