【カメラリポート】宮崎学さんに聞く
『となりのツキノワグマ』を出版
上伊那地域で多発しているクマの目撃情報。
人や農作物への被害が心配されている。
しかしその数や行動範囲などはあまり知られていない。
クマはなぜ人里近くまでおりてくるのか?駒ヶ根市に住む自然界の報道写真家宮崎学さんに話を聞いた。
(宮崎さん)「相手は野生動物ですからね。クマに限らずタヌキやキツネだってどこでも歩いてるんですよ。だからそのどこでも歩いているところを、やっぱり行政にしても現代人はみんな人間を中心にしてものを見ているでしょ。それをたまたま見つけただけで大騒ぎするのも今まで何をやってきたんだということを言いたいよね。」
お仕置き放獣は手負いグマをつくる
宮崎さんは自然と人間をテーマに中央アルプスで動物写真を撮り続けている。
このほどクマの生態をまとめた写真集「となりのツキノワグ」を出版した。
宮崎さんはクマが里におりてくるのは山に餌がないからだという考え方を否定する。
また宮崎さんは人里近くに現れたクマが再び人間に近づかないよう、お仕置きをすることは、かえって危険だと言う。
(宮崎さん)「目撃しただけでね、檻を仕掛けて捕獲するということは僕は反対してます。ということは本来クマが自由に歩いているのに、それをたまたまクマのエリアに私どもは住んでいるんだし、そこへ出かけているんですからね。山菜採りにしても何にしても。だからクマがいたじゃなくて、いて当たり前なんですよ。それを檻を仕掛けて捕まえて、それでなおかつ今度はタグをつけて放すというお仕置き放獣。これは手負いグマをつくります。クマに恐怖心を与えて強暴なクマを量産していくとすれば、やっぱり山菜採りとか、いろんな人をこれから襲ってくるでしょうね。」
高速道路の脇をクマは平気で歩く
宮崎さんは自ら撮った写真から、クマは人が生活しているすぐ近くにいて、人間社会に適応していると考えている。
(宮崎さん)「こういう現代社会になってますから高速道路が当たり前。だけどそれでクマは全然警戒してない。要するに中央高速道路の脇を平気でクマが歩いているでしょ。その事実は何なのかということは、笛や鈴を鳴らせば逃げていくような、そんなタイプのクマはもういないんです。毎年新しい子どもが生まれて、その子どもはトラックなんか当たり前に走っているときに生まれてきている子どもですから。つまり今までの常識、セオリー通りなことを言ってそれを信じてることの方が僕は人間が退化した大間違いな行動をおこしていると思います。」
クマの頭数調査が必要
(宮崎さん)「クマが何頭いるかなんて誰も見ていませんし調べていません。しかしまずそれが大事なんですよ。どのくらいのクマが伊那谷にいるのか。そして何頭以上に増えたら、やっぱり余剰分は人間と共存するためには補殺してもいいんじゃないかとか、何頭以下に減ったら、厳重に保護しようというコントロールが共存だと思います。」
宮崎さんはクマの頭数調査を実施し、対策を取らなければニホンジカのように増えすぎてしまい、
人や農作物への被害が拡大する可能性があると話している。