フィリピンに自立支援センター完成
伊那ライオンズクラブが4万ドル調達
フィリピンマニラ郊外にあるパヤタス地区。
かつては、海岸線に面した漁村でしたが、1954年頃から焼却されないごみの投棄場になり、それ以来、マニラ市内から出たごみが大量に運びこまれ、スモーキーマウンテンが形成されていったのです。
自然発火したごみの山からくすぶる煙が昇るさまからそう名づけられました。
そんなパヤタス地区にパヤタス・ライオンズセンターが完成し、4月に現地でオープニングセレモニーが行なわれます。
パヤタス地区は、スモーキーマウンテンで、ごみの中から廃品回収を行い、僅かな日銭を稼ぐスカベンジャーと呼ばれる貧しい人たちが劣悪な環境で生活しています。パヤタス・ライオンズセンターは、そんな環境の中で生活している子どもたちや母親たちの教育、自律支援の場として建設されました。
これには、伊那ライオンズクラブの46代会長、吉澤文男さんが深く携わったのです。
吉澤さんがスモーキーマウンテンを知ったのは、11年前の2000年でした。
ごみの山が崩れて700人が死亡するという大惨事を知り、それ以来個人的に支援活動を行なってきました。
吉澤さんは、2008年に46代伊那ライオンズクラブ会長に就任。活動の輪をさらに広げていこうと「未来につながるフィリピン奉仕活動」を立ち上げ、国際財団に援助資金交付を申請し、努力が実って2010年5月に2万ドルの資金援助をとりつけました。
伊那ライオンズクラブが負担する2万ドルとあわせて、4万ドルをセンター建設に充てました。
吉澤さんがまいた種は、今ひとつの実を結ぼうとしています。
支援活動の輪は、各地に広がりを見せています。
伊那商工会議所女性会やガールスカウトからは、現地に贈るTシャツがたくさん寄せられるようになりました。他のライオンズクラブからは、センターで使うミシンを贈りたいという申し出もありました。
センターでは、母親たちが生きる糧として、ミシンを使い刺繍を制作し販売していくことになつています。
現地に行くと必ず子どもたちを抱き上げるという吉澤さん。
ある雨の日、両親を失った4歳の子どもが生後8ヶ月の妹を自分がかさになって抱きかかえる姿が目に焼きついて離れないといいます。
ごみから刺繍に。
伊那ライオンズクラブのパヤタス地区自律支援活動は、現地の人たちに生きる喜びを感じてもらう活動として、今年4月に大きな第1歩を踏み出します。