福島の農家 伊那で再出発
福島第一原子力発電所の事故の風評被害により、農産物が売れなくなった、福島県伊達市の農家、佐藤浩信さんは、今月から伊那市に移住し果樹栽培を始めます。
佐藤さんは、伊那食品工業株式会社と取引があり、それが縁で今回、伊那に移住し果樹の栽培を始める事になりました。
伊那食品の塚越寛会長は、「義援金という方法もあるが、親身になり、被災された方一人ひとりを、最後まで面倒を見る応援をしたい。」と話していました。
佐藤さんは「果樹が実るまでには3年、5年かかる。5年・10年先を見据え農業をしたい」と話していました。
この後、佐藤さんは、住まい探しや伊那市西箕輪で借りる50アールの農地等の見学をしました。
佐藤さんは福島県伊達市にある3.5ヘクタールの農園で、リンゴや桃、サクランボ等を生産する農家です。
佐藤さんの農園は、福島第一原発からおよそ60キロの場所にあります。
原発の事故発生直後からは、関東や関西の百貨店からキャンセルの連絡が相次ぎ、今年のお中元用の商品は、風評被害もあり、出荷できない状態という事です。
佐藤さんは「農業はお客さんがいるから頑張る事が出来る、何も買ってもらえないと気持ちが折れてしまう。伊那で再出発し気持ちを立て直したい。今は、後戻りできない状況、伊那には知人や仲間など頼れるものが少ないが、それが、独り立ちには良い環境と思う」と話していました。
福島の農園は、息子さん2人が残り管理を行い、佐藤さんは奥さんと2人で、伊那に移住し、新たな生活をスタートさせる事にしています。
今月中には、桃とサクランボの苗、合わせて、130本を植える事にしています。