中央アルプス駒ケ岳ロープウェイガイド
白川ゆか里さん
「始めて乗務した時は、ゴンドラから見る山の景色のあまりの素晴らしさに感動しました。今でも四季折々に山が見せてくれる表情にはうっとりしてしまいますね」駒ケ岳にロープウェイがあることはこの仕事に就くまで知らなかったため、最初に乗った時の感動はなおさらだったという。「個人的に一番好きなのは新緑の春かな。生き生きとした生命力が感じられるから」
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標高1661・5メートルのしらび平から2611・5メートルの千畳敷まで標高差950メートルを7分30秒で結ぶ駒ケ岳ロープウェイのガイド。訪れる観光客に「眼下に見えます木々はシラビソと申しまして窶煤vと日々美しい声で解説している。
意外に知られていないが、ロープウェイは1年を通して休まず運行している。通常は20分間隔だが、観光シーズンになると連日8縲・分間隔のフル稼働。休憩もほとんど取れず、ひっきりなしの乗務が続く。「疲れます。気圧も上と下ではかなり違うから窶煤Bでも一番つらいのは何といっても真冬ですね。マイナス20度ぐらいの中で笑顔でいるのはとっても大変」
乗務を始めたころは緊張してアナウンスを間違えることも度々でその都度冷や汗をかいた。「元々人前に出ることがあまり得意じゃない性格なので…。覚えるために一生懸命練習しました。今ではもう完全に暗記していて間違えることはありませんけどね」
曇りの日に「何が素晴らしい眺望だ。南アルプスなんか全然見えないじゃないか」と文句を言われたこともある。(きっと長い時間待たされてイライラしているんだろうな)と思い「申し訳ありません」と笑顔で謝ったら機嫌を直したという。
04年7月25日。落雷によりロープウェイの通常運転ができなくなり、千畳敷駅に観光客千人余りが取り残された事故が起きた時は「大変なことになった」とパニックに陥った。それ以降、乗客60人の命を預かっているという責任を強く自覚して乗務するよう心掛けている。「大変だけどこの仕事は大好き。このままずっと続けられたらいいな」
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唯一の悩みはゴンドラ内が定員いっぱいで混み合っている時…「体を触ってくるお客さんがいるんですよ。あからさまに嫌な顔もできないし、逃げるわけにもいかない窶煤Bそんな時はただじっと我慢するしかないですね。悔しいけど…」 (白鳥文男)