伊那市出身梶野監督 福島の現状を語る
伊那北高校クロスペンアカデミー
伊那市西春近出身の映画監督、梶野純子さんの講演会が14日、伊那市の伊那文化会館で開かれ、現在制作中の映画について話しました。
講演会は伊那北高校が開いたもので、会場には生徒や一般などおよそ850人が訪れました。
講師を務めた梶野さんは、伊那市西春近出身の37歳。伊那北高校を卒業後、単身渡米し映画制作を始めました。映画監督で夫のエドワード・コジアスキーさんと共に制作をしています。
2人は現在、福島県の原発を題材にしたドキュメンタリー映画を制作していて、講演の中でその一部が上映されました。
梶野さんは、3.11の被害を目の当たりにして、今の被災地の現状を世界に伝えようと映画制作を始めました。
映画は福島県の原発事故の被害を受けた農家の取り組みや心境、取材を通して知り合った農家の人たちの人柄がドキュメントタッチで描かれています。
梶野さんは「長期滞在で被ばくするリスクは高いが、取材を通じて学ぶことや得るものはそれより何倍も大きい」と話していまいした。
講演会では質疑の時間が設けられ、高校生から質問が出されていました。
ある女子生徒の「もし福島県の農家だったら被災後どうしましたか」との問いに、梶野さんは「自分の親も農業をやっていたので、取材していると農家のみなさんと父親を照らしあわせてしまう。自分の持つ伝統的な土地を守っていくということの大切さを考えると、私も残っていると思う」と答えていました。
質疑は1時間近く行われ、二人は丁寧に質問に答えていました。
講演終了後の取材に梶野さんは「伊那北高校の生徒のみなさんは若いのによく考えている。これから先まだまだ将来があるな、と思わせられるような充実したディスカッションだった」と話していました。
ある生徒は「福島の農家の人たちの声を聞いたり様子を観ていろんなことがわかったし、自分たちでもまだ何かしてあげられることがあるんじゃないかと思った」と話していました。
梶野さんとコジアスキーさんが制作中の映画「超自然の大地」は5月の完成を目指していて、作品は劇場のほかインターネットでも公開される予定です。