「信州の名工」高栖邦章さん
「思いを込めた物づくり伝えたい」
「自分でもびっくりしている。これまで一生懸命仕事をしてきたこと、会社が推薦してくれたことが受賞につながった」
伊那市上牧の高栖邦章さん65歳。
中学卒業後、岡谷工業高校に通いながら岡谷市内の機械加工会社で技術を習得。昭和51年に現在の中村製作所に入社しました。
精密な技術を要する基台の金型製造と調整
ハードディスク内の部品を固定する基台の金型の製造、調整が主な業務で、1000分の1ミリ単位の研磨技術が求められます。
中村製作所が世界で初めて金型を開発した1.8インチハードディスクの基台は、アメリカ、アップル社の小型音楽再生機器「i Pod」にも使われていて、高栖さんは金型の製作・調整チームのリーダーとして開発に携わりました。
高栖さんは「金型が図面通りにできても、うまくいくとは限らない。苦労も多いが、図面通りできたときにはその苦労も吹き飛ぶ」と話していました。
“昔ながらの職人”育成へ
半世紀に渡り機械加工に携わってきた高栖さん。
入社した当初に比べて機械の技術は革新的に進歩したと話します。
その一方、作業が分業化されたことにより、作業を総合的に捉えることのできる、昔ながらの「職人」がいなくなってしまったとも話します。
現在、高栖さんは嘱託社員として後進の指導にあたっています。
高栖さんは「若い人たちに物づくりの楽しさを知ってもらいたい。その中で、ただ形にするだけでなく、思いを込めた金型を作ってもらいたい」と、次世代を担う若手従業員の成長に期待を寄せています。