85歳 近藤廉治さん~笑顔の病院づくり~
全国の自殺者数が14年連続で3万人を超えるなか、上伊那でも自殺により死亡する人が後を絶ちません。
南箕輪村にある南信病院では、85歳の前院長、近藤廉治さんがユニークな取り組みでこの問題に向き合っています。
学博士、近藤廉治さん85歳。専攻は精神病理学。
近藤さんの手元には、大量のバナナ。
ここは、南箕輪村にある南信病院。診療科目は内科と精神科。
満員御礼の会場。精神的な病でここで治療や入院をしている人たちが集まりました。お目当ては、近藤さんのバナナのたたき売りです。
近藤さんは「バナナのたたき売りは、病院は楽しいな、というひとつの雰囲気づくり」だと話します。
3年前に院長を辞め理事長となった今でも患者さんとのふれあいの時間を大切にしています。
病院には、ベットを仕切るカーテンがありません。テレビもおいていません。患者同士のコミュニケーションを大事にしているからです。
入院したらほっとするような雰囲気、それが近藤さんが目指す病院です。
後を絶たない自殺による死亡者
伊那保健福祉事務所の統計によると、昭和55年から平成22年までの上伊那の自殺者数は、1年間で平均43.5人。自殺の原因の一つとして考えられている精神疾患。近藤さんは、「入院医療を上手に使えば自殺者は減らせる。世の中が嫌になってしまったら、早く入院して治療し、そうゆう気分をとってしまうことが大事」と話します。
「精神科病院への偏見をなくしたい」
患者が入院をためらう理由のひとつ、精神科病院への偏見。その偏見をなくす唯一の手段は、外の人に病院を見てもらうことだと話します。
近藤さん:「偏見というのは、感情の問題であって理屈ではない。病院の中を見てもらって、普通の病院と変わりないと思ってもらえたら」
近藤さんのバナナのたたき売り。終始、患者さんの笑い声が響いていました。