ヒメバラモミ分布調査へ
南アルプス北部に生育の絶滅危ぐ類
中部森林管理局は今月中にも、南アルプス北部に生育する常緑針葉樹・ヒメバラモミ(マツ科、トウヒ属)の分布調査を始める。自生母樹の総本数が数百本程度と言われ、絶滅の危険性が高い環境省の植物版レッドリストの絶滅危惧IB類に指定されている。昨年度からの6カ年事業で、生育個所を把握し、保存や増殖を目指す。
ヒメバラモミは八ケ岳の南西部と南アルプス北西部のみの生育が確認されている日本固有種で、胸高直径1・3メートル、樹高40メートルにも成長する。氷河期には優先的樹種だったが、その後の温暖化による降雨の多さが減少の原因とされるほか、鹿の食害も考えられるという。
南アルプス北部地域では、社団法人林木育種協会に委託し、最大の分布地とされる長谷村の戸台地区や、尾勝谷、巫女淵などのほか、大鹿村の豊口山、山梨県白州町の大平地区で、位置や樹高、胸高直径、枝下高などを調査する。
昨年11月には八ケ岳地域の現地調査を実施し、八ケ岳山ろくの4町4村で66本を確認。このうち33本が南牧村の農家の自宅で防風林とされていた。
調査結果をまとめた来年度以降は、穂木を採取して台木に接ぎ木し、その成苗で増殖のための種を採取する採種林や、広く紹介するための見本林を造成する。造成地は長谷村の国有林を予定している。