【カメラリポート】病に負けない 初午づくり
伊那市東春近 田中豊文さん(79)
伊那市東春近の工芸作家田中豊文さんは、病気で、今年のお正月の縁起物を作ることができませんでしたが、現在、2月9日の初午に向け、ワラ馬づくりに、取り組んでいます。
田中さんの作業小屋には、こんな張り紙が・・・。『負けないぞ!!透析してもこのパワー』
田中さんはこう話します。「透析してたって、透析ぐらいに負けちゃならんと。皆さんにね、あの人は透析しててもあの元気だって言われたいという気持ちを持ってるの。いつも」
喉頭がんを克服し闘病生活の田中さんを病魔が襲う
79歳になる田中豊文さんは、55歳のときに会社を退職し、ワラ細工を中心に工芸品づくりを手がけるようになりました。
田中さんは、2001年67歳のときに喉頭がんを患い、半年間の入院生活を送りました。
がんとの闘病生活を送ってきた田中さんに新たな病魔が襲っていました。
腎臓を悪くし、去年5月に透析の手術を受けたのです。
宝船は断念・・・しかし大好きなワラ細工作りを
現在は、週2回、1回4時間の透析を受ける日々。
正月の縁起物・ワラ細工の宝船を毎年制作していた田中さんですが、力仕事のため、去年の暮れにかけてその作業をすることが出来ませんでした。
それでも、大好きなワラ細工を続けたい、縁起ものを楽しみにしている人たちに喜んでもらいたいと、体に負担の少ないワラ馬を作っています。
田中さんはこう話します。「うま(馬)くいくとかね。足腰が丈夫なんですよ、馬というのは。ということで体が弱い人などに無病息災を祈って贈るんですが喜んでくれてね。張り合いなんですよ。自分も力になるんです。」
オリジナルのワラ馬は、20年ほど前から作っていて、足を悪くした高齢者などに贈っています。
作業は、去年12月頃からはじめ、1日に四体が限度ということですが現在、雄と雌の86セットが完成しています。
農業名人認定も励みに
去年3月に上伊那農業委員会から、ワラ細工で農業名人に認定された事も励みになっています。
田中さんは、「元気になって病気に負けないぞ、という気持ちをいつも持っているからね。またやるぞ、と。先生(医師)がいうには、田中さんは、またやろうというそういう気持ちがあるから、病気に勝てるんだって、そういって下さっています。」
いつもは、70セットが限界だということですが、今年は100セットに挑戦する予定です。