南ア 銃での捕獲8月下旬から
環境省は、ニホンジカによる高山植物への食害が問題となっている南アルプスで、今年8月下旬から9月にかけて全国でも初となる高山帯での銃による捕獲の実証実験を行います。
6日伊那市役所で開かれた南アルプス食害対策協議会で、環境省の北アルプス首席自然保護官の西尾(にしお) 治さんが講演し、南アルプスでの鹿の駆除について話しました。
南アルプスでは、高山植物に被害が出ているためシカの個体数調整が必要となっています。
これまでも、冬の間、里山に降りてくるシカの駆除は行われてきましたが、夏場の高山帯での対策が求められていました。
検討した結果、仙丈ケ岳の小千丈カールが銃による駆除の効果がもっとも高いとしています。
時期については、登山者が少なく、ライチョウの繁殖期ではない、8月下旬から9月にかけて行なうとしました。
駆除した鹿は、ヘリコプターなどで搬出するということです。
西尾さんは、「標高の高い場所でのシカの捕獲方法を確立したい」と話していました。
南アルプス食害対策協議会は、貴重な高山植物を絶滅させないため、国や信州大学農学部、関係する自治体などで組織され、平成19年度に発足しました。
協議会会長の白鳥孝伊那市長は「世界自然遺産の登録を目指す南アルプスは、食害対策でも先進的な取り組みが注目されている。正常なバランスの南アルプスに戻したい」と挨拶しました。