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みのわ手筒会

みのわ手筒会

 今年10月、「みのわ手筒会」(40人、唐沢修一会長)が打ち揚げる手筒花火が、長谷村の空を赤く染めた。来年3月の伊那市、高遠町との合併を控え、「村」として開いた最後の「第22回南アルプスふるさと祭り」の前夜祭で太鼓演奏と競演。1本目の打ち揚げに会場はどよめき、最後は拍手の渦となった。上伊那郡内では地元箕輪町以外での初の打ち揚げで、長谷村の人々に、若い会員たちの心意気を見せた。
 発足は02年5月。箕輪町商工会青年部が、「恵奈手筒会」による手筒花火イベントを知り、01年に訪問研修。地域活性化のために-との熱い思いを抱き、日本煙火協会をはじめ各行政機関の厳しい審査を経て、県内初の手筒花火打ち揚げ任意団体として誕生した。青年部員ら約40人で青年部とは独立した組織として結成し、現在は町の文化団体として活動している。
 発足から2カ月後の7月、「2002みのわ祭り」で初の打ち揚げ。和火の美しさと、降り注ぐ火の粉の中に身を投じて打ち揚げる勇姿は感動を呼び、「箕輪の町に夢と希望を届けたい」という会の思いが実った。
 みのわ祭りでの打ち揚げも今夏で4回を数え、すっかり定着。観客も、撮影に訪れるアマチュアカメラマンの数も毎年増えている。町内では長田自然公園夏祭り、八乙女区の盆祭にも招かれた。
 今年は、町発足50周年記念事業のカウントダウンイベントを皮切りに計9カ所で打ち揚げている。
 手筒花火の評判を聞き付け、県内はもちろん県外からも出演依頼がある。県外では岐阜県恵那市と中津川市で打ち揚げているが、会員の希望で、基本的には県内市町村のイベントに協力参加。これまで上田市、岡谷市、波田町、牟礼村、生坂村、三郷村などに出向き、旧長門町と旧和田村の新町合併記念振興事業のように記念事業に数多く参加している。
 会費で運営する非営利団体。イベント主催者から火薬代と出演料をもらい、「体をはって打ち揚げる」。イベントは、約1カ月前から新聞やケーブルテレビ、チラシなどで広報するため、図らずも他市町村で「箕輪」の名が宣伝される。出向く先は北信や中信が多いため、箕輪町の情報発信の役割も担い、町をあまり知らなかった住民も関心をもってくれるという。
 手筒花火だけでなく小型煙火も盛り込み、音楽と共に打ち揚げるスタイル。「また見たい」と反響も大きく、「また来て!また来て!」と子どもたちのラブコールもある。
 「手筒の打ち揚げにより自己実現を図り、町内外の地域の皆様と広くネットワークを形成し、まちづくりと文化向上に貢献したい」
 火薬を使う危険と隣り合わせの煙火打ち揚げ。会の願いを実現するために、安全性を第一に考え、打ち揚げ者全員が「煙火打揚従事者」資格講習を受け、皆が救命講習や打ち揚げの模擬訓練、警備訓練などに真剣に取り組むなど、ひたむきな努力を積み重ねている。
 「お金ではなく、価値あるものとして評価いただいていることがうれしい。皆さん、見て帰るときの笑顔がすごくいいですね」
 観客の目に焼き付く手筒花火のように、会員の心には、花火のごとく輝く観客の笑顔が映っている。(村上裕子)

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